浅野忠信、堺雅人、長澤まさみ、岡田准一、蒼井優…話題の俳優たちが人生と向き合う「雪と共に生きる人々の映画」5選【冬の映画案内】

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 すべてが白に染まり、静寂に満たされた世界。人の目に絶景と映る雪景色は、実のところ生と死の狭間の世界でもある。命を瞬時に奪う厳しさを持つ雪と、時に翻弄されながらも共存と闘いを挑み続ける人々。映画解説者の稲森浩介氏による映画案内、今回は今こそ観たい「雪と共に生きる人々」の映画を紹介する。

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未踏の剱岳へ挑む測量隊

〇「劔岳 点の記」(2009年)

 新田次郎の原作を元に、測量のため命を賭けて雪山へ挑んだ男たちを描く。これまで「八甲田山」(1977年)などを撮影した名カメラマン・木村大作の初監督作だ。

 明治40年。国防のため日本地図の完成を急いでいた陸軍は、参謀本部陸地測量部の測量手・柴崎芳太郎(浅野忠信)に剱岳の測量を命じる。一方、日本山岳会の小島(仲村トオル)らは、剱岳の初登頂を狙っていた。妻の葉津よ(宮崎あおい)に見守られ、柴崎は現地の案内人・宇治長次郎(香川照之)、測夫の生田信(松田龍平)ら7名とともに前人未踏の山へと向かう。

 基準となる三角点の距離・方位・高さを測量することで正確な地図を作ることができる。その三角点の設置および測量などの記録を“点の記”という。映画の冒頭にはこうある。「その設置は、ただ地図を作る為に命をかけた測量士が、先頭に立って道を開くことでなされた」と。

過酷すぎた撮影現場

 これまで未踏峰だった剱岳。過酷な雪や暴風雨、雪崩がことごとく行く手を阻む。どれほど過酷な撮影だったかを、木村監督は振り返っている。

「きつかったのは雪渓の撮影と、剱沢小屋から池ノ平まで9時間歩いたこと」「俳優さんたちもテントに泊まり、翌朝もう一度撮って9時間かけて帰ってきた」(木村大作、金澤誠『誰かが行かねば、道はできない』キネマ旬報社)

 香川も「つらかったことを挙げれば、1週間くらい話し続けられる」「朝4時から歩き始めて、もうかなり進んだかなと思って尋ねたら『10分の2ですちゃ』って言われた瞬間は忘れられません」と公開当時に語っている。

 測量隊が雪山を蟻のように一歩ずつ進むところを、遠景で撮った場面がある。その姿は神のいる山を目指す巡礼者のように崇高だ。

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