「有吉の壁」はなぜ、2度も映画化されるほど支持されるのか 「純粋なお笑い番組」が激減した地上波テレビ
オーディションと即興
日本テレビの人気バラエティ番組「有吉の壁」のスピンオフ映画「有吉の壁 劇場版アドリブ大河『面白城の18人』」が全国で公開されている。「アドリブ大河」という企画をベースにしたオリジナル作品である。脚本や配役を事前に固めず、オーディションと即興によって内容が組み立てられているのだという。【ラリー遠田/お笑い評論家】
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「有吉の壁」は以前にも映画化されていて、これが2度目の試みとなる。2回も映画化が実現したのは、それだけ根強いファンが多くいる人気番組だということを証明している。
現代の地上波テレビでは、芸人が出演する番組は数多く存在する。しかし、かつてのように笑いだけを目的とした「純粋なお笑い番組」は激減している。多くの番組では、たとえ芸人が出演していても、生活に役立つ情報や教養的な要素が盛り込まれていたりする。
ただ笑えるだけの番組は、深夜枠では存在するが、ゴールデンタイムやプライムタイムではほとんど姿を消してしまった。
そんな中で、2015年から不定期で放送され、2020年以降はレギュラー番組として放送されている「有吉の壁」は、昔ながらの純粋なお笑いを追求する貴重な番組である。大勢の芸人たちが、有吉弘行を笑わせるためにロケを含むさまざまな企画に挑むというシンプルなコンセプトの番組だ。若手からベテランまで幅広い芸歴の芸人が体当たりで笑いの真剣勝負を繰り広げる。
この手の純度の高いお笑い番組では芸人の目の輝きが違う。「M-1グランプリ」などのコンテスト番組で見られるような真剣さが、この番組にも感じられる。作り込まれた漫才を演じるのも、ロケでその場で考えたコントを見せるのも、笑いの真剣勝負という意味では変わらない。芸人たちは有吉という「壁」を超えることで、お笑いの世界で認められ、ひいては世間に認められることになる。
番組の審判役を務める有吉は、厳しいジャッジを下す一方で、優しい笑い上戸の一面も持つ。くだらないことにゲラゲラと笑い、スベった芸人もコメントでフォローして笑いに変えてしまう。その的確なジャッジと鋭いコメントには、バラエティ界を背負って立つ芸人としての風格が感じられる。
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