「有吉の壁」はなぜ、2度も映画化されるほど支持されるのか 「純粋なお笑い番組」が激減した地上波テレビ

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「ウルトラクイズ」の系譜

 かつて同じ日本テレビで放送されていた「ビートたけしのお笑いウルトラクイズ!!」では、芸人たちが命がけでリアクション芸に取り組み、出川哲朗やダチョウ倶楽部がその才能を開花させた。「有吉の壁」にもその系譜を感じることがある。笑いの向こう側に芸人たちの生き様が浮かび上がってくる瞬間、純粋なお笑い番組の奇跡を目の当たりにすることができる。

「有吉の壁」の映画化は、単なる一番組の企画にとどまらず、バラエティというジャンルにおける新しい挑戦である。「その場だけで成立するバラエティ的な笑い」をどこまで映画的に翻訳できるかという意欲的な試みなのだ。

 この番組の人気の核心にあるのは、視聴者の「純粋なお笑いへの渇望」である。情報性のあるバラエティが主流となった今、ただ笑うためだけに存在する番組は貴重である。芸人たちの本気の勝負と、それを見守る有吉。そこに生まれる笑いと感動が、テレビの枠を超えて映画館へと広がっている。

「有吉の壁」の異例の成功は、お笑いの原点回帰への強い支持を示している。70~90年代には、ゴールデンタイムにコント番組が放送され、高い視聴率を取り、日本中の視聴者がそこに釘付けになっていた。今の時代にあの頃の空気を感じさせてくれる「有吉の壁」は特別な価値のある番組なのだ。

ラリー遠田(らりー・とおだ)
1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり 〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)、『松本人志とお笑いとテレビ』(中公新書ラクレ)など著書多数。

デイリー新潮編集部

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