みそカツ「矢場とん」の店員がプロ野球選手に! 楽天イーグルス「26歳のオールドルーキー」が高校から始めた野球でプロ入りを果たすまで

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 昨年行われたドラフト会議で、楽天イーグルスの6位指名を受けた九谷瑠(くたに・りゅう)投手は、大学卒業後にみそカツの専門店「矢場とん」に就職し、同社のクラブチームで3年間プレーした後に社会人の強豪として知られる王子に入団。昨年の都市対抗野球でチームを優勝に導いた実績が認められ、歓喜の瞬間を迎えた。本格的に野球を始めたのは高校からと遅く、紆余曲折の末にプロ野球選手としてスタートラインに立った九谷投手のキャリアに迫った。

外で遊ぶのが好きでスポーツに打ち込んだ少年時代

 今年、楽天イーグルスの一員に加わった九谷投手は、京都・大阪のベッドタウンとして発展し、琵琶湖に面した立地で知られる滋賀県草津市で生まれ育った。

「小さい頃は外で遊ぶのが好きで、家に帰るとすぐに学校のグラウンドに出かけて、友人と一緒に野球やサッカーに打ち込んでいました。でも、一方の勉強は全くというほど出来なくて、他の子よりも少しだけ綺麗な文字くらいしか褒められたことがありませんでした。その中でも特に国語は苦手で、文章力に課題を感じているので、今は少しずつ勉強を続けているところです」

 身体を動かすのは大好きだったものの、特定のチームには属さずに、あくまでも遊びの延長としてスポーツに取り組んだ九谷少年は、中学校ではソフトボール部に入部し、捕手として競技に打ち込んだ。

「当時はほとんど真ん中に構えていただけで、細かくサインを出すような場面はありませんでしたけど、あの頃の経験があったおかげで、捕手の気持ちは少しだけ理解できるようになったかな」

 中学を卒業した九谷投手は、「早めに試合に出られそうな環境が整っていた」ことから地元滋賀県の公立校で、甲子園出場歴もある堅田高校に進学し、白球を追う3年間を過ごした。

強いチームに勝つことに憧れていた

 入学当初は打撃を買われて遊撃手、2年生の夏からはエースとして存在感を示すも、チームの成績は3年生夏(2017年)の県大会ベスト8が最高で、甲子園出場には及ばず。

 だが、「力の劣るチームが、奇跡を起こして強いチームに勝つことに当時から憧れていて。野球を1から丁寧に教えていただきつつ、試合に出ながら部員たちと技術を高め合うことができた時間は、僕の野球人生でも大いに役立ちましたし、強豪校でなかったからこそ得られた経験もたくさんあったように感じています。もし仮に高校で強いチームに入っていたら、とっくに野球を辞めていたんじゃないかな」と、九谷投手にとってプレーヤーとしての礎を築く実りの多き時間だったと明かす。

 そして高校卒業後は、「教員資格を取り高校の先生になる将来」を見越して、近畿学生野球2部に属する大阪大谷大学に進学。入学後に本格的に投手に専念することとなった九谷投手は、
1年生の秋から主力として登板を続け、卒業までに35試合に登板し、10勝8敗、防御率2.22の成績をマークした。

 だが、大学3年でコロナ禍を経験し、実戦の機会が限られていたこともあって、当初の第一希望としていた社会人チームへの入団は叶わず。野球部の先輩の勧めもあって、名古屋を中心に展開するみそカツの専門店として知られる矢場とんに入社。クラブチーム「矢場とんブースターズ」の一員として野球を続けることとなった。

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