“まとめ”を超えた一つの「作品」に… 本の要約サービス「フライヤー」社長が「要約にAIを使わない」と豪語する理由

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 話題のビジネス書から不朽の名著までを1冊10分で――。そんな本の要約サービス「フライヤー」がビジネスパーソンを中心に好評を博している。2013年の創業以来、累計会員数は130万人に迫るが、AI時代に「要約」はどのように生き残っていくのか。そして、数々の要約を手がけてきたからこそ気付く「売れる本」のトレンドと人々の価値観の変化とは。創業者でもある大賀康史CEOと経済アナリストの森永康平氏の対談から迫る。

※本稿は「週刊新潮」2025年1月29日号【経済アナリスト森永康平のビジネスリーダーにドロップキック!】の対談記事を再編集したものです。

 昨年2月に新規上場を果たし、なおも成長を続ける本の要約サービス「フライヤー」。その累計会員数は125万人を超え、130万人に迫る。

 しかし、一口に「要約」と言っても本の選定から著作権者との交渉まで壁は数多い。どのような流れで要約が行われているのだろうか。

「まず、要約する本は弊社メンバーに加えて、経営者や大学教授、書店員など第三者で構成される選書委員会で選びます。単に売れているかどうかだけでなく“ビジネスパーソンにとって価値のある本”を、新刊を中心に選んでいます」

 そう語るのは、「フライヤー」の創業者でもある大賀康史CEOだ。

「要約は各専門分野に精通したライターが執筆し、元編集者の社員らが厳正なチェックを行った上で、出版社の編集者や著者ご本人にも確認をいただきます。そして私自身もすべての要約に目を通しています」(同)

 まず本を選ぶ「フィルター」の質を担保してから、プロのライターが手を付けるという。ただ、選んだ本も勝手に要約して勝手に売っていては著者や出版社が黙ってはいまい。大賀氏はこう話す。

「著作権の問題は、この事業を立ち上げる際に最も気を使った部分です。私たちは創業以来、『出版社・著者・読者』の『三方よし』を掲げています。すべての要約は、必ず出版社や著者の許諾を得てから公開しています」(同)

著者や出版社にとってのメリットは

 それでは、著者や出版社にとってのメリットは何なのか。

「フライヤーで要約を読んだユーザーが“もっと詳しく知りたい”と思って実物の本を買ってくれる。その販促・宣伝効果をメリットとして感じていただいています。事実、フライヤーのランキングの上位に入ったのを機にベストセラーになった例はたくさんあります」(大賀氏)

 サービス開始当初はそれまで世の中になかった「要約サービス」だけに、出版社の理解と協力を得るのには苦労したと大賀氏は言う。

「あらゆる出版社を訪ねましたが『これ、本当にうちにメリットあるの?』と最初は疑心暗鬼な反応ばかりで(笑)。それでも、各出版社の話題作で要約サンプルを作って“こういう形で紹介したいんです”と地道に説明して回りました」

 風向きが変わったきっかけはある出版社の社長だった。

「“本の良さを広めるサービスなら、出版業界だけでなく世の中のためになる。応援しよう”と言ってくれたことです。その方が他社の社長も紹介してくれ、少しずつ協力の輪が広がっていきました」(同)

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