専門家は「長男くんの将来が心配」…ナイトスクープ炎上 成長しても癒えないヤングケアラーのトラウマとは
「探偵!ナイトスクープ」(ABCテレビ)の1月23日放送回が波紋を呼んでいる。炊事、洗濯、掃除など日常的に兄妹の世話をする小6の長男が「6人兄妹の長男を代わって」という依頼をした内容に「あれはヤングケアラーでは」という声が集まり、ネットで炎上。母親のSNSは特定され、「育児放棄」「児童相談所に通報した」といった批判が殺到した。ABCテレビは26日、番組公式サイトにおいて「番組内容は演出だった」と説明、謝罪をしたが、現在までも強い批判や誹謗中傷はおさまる気配がない。
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【写真を見る】ABCテレビのHPに掲載された【1月23日放送回に関して】には「番組の編集・構成上の演出として表現」「放送用に構成・改稿した」といった文言が並んでいた
「番組を拝見しましたが、小6の長男くんは完全に“ヤングケアラー”です。そもそもヤングケアラー問題は非常にセンシティブ。バラエティ番組で扱っていいテーマではありません」
とは、日本家族問題相談連盟理事長でカウンセラーとして活動する岡野あつこ氏。
「今回の番組にふれたニュース記事へのコメントにも“自身もヤングケアラーです”といった書き込みが多かった。ヤングケアラーは今、とても増えているんです。私のところに相談に来るシングル家庭でも、親が必死で働き、上の子がきょうだいの面倒を見るといったケースは昔からあった。“ストーカー”という言葉と同じで、“ヤングケアラー”という言葉が浸透したことで、“自分もヤングケアラーでは”と気づいたケースも少なくない。今回の炎上でも、さらにヤングケアラーが増えるかもしれませんね」(岡野氏、以下同)
昔であれば「家のお手伝い」「親孝行な子」といった言葉で片付けられていたケースが、2010年代後半~2020年前後から「 本来大人が担うと想定されている 家事や家族の世話などを日常的に行っているこども・若者(ヤングケアラー)」として認知されるようになった。言葉や概念が生まれたことで可視化されるようになり、結果「増加した」とされる側面が強い。
クラスに1~2人
「厚生労働省や自治体の調査では、ヤングケアラーの存在は“クラスに1~2人いる”とされています。警察や学校がヤングケアラーに気づき、児童相談所へつなぐケースが増えたことで、統計上の数字も右肩上がりに。児相では単なる“お手伝い”ではなく、“虐待(ネグレクト)の境界線”として重要視されます。ただし、最近では“子どもを保護する”支援でなく、“家庭に福祉サービスを入れ、子どもの負担を減らす”といった支援にシフトされてきた。テレビに出演した家庭にも福祉の支援が入るといいのですが……」
ヤングケアラーを生み出す原因は「子どもが子どもでいられない家庭構造」だ。
「家事や育児、介護を担っているかどうかよりも“その子が頑張らないと家が回らない状態”が続いていることが本質的にまずい。多くのヤングケアラーの子は“別につらくない”“自分がやって当然”と言います。でもそれはつらくないのではなく、つらいと言ってはいけない立場に置かれているだけなのです。親子の立場が逆転している。相談できる大人がいない結果、子どもが生活の責任といった大人の役割を背負ってしまうのです」
そのうえで「優しい子」「しっかりした長男」「家族思い」などの賛辞や、その状況が「美談」として語られるケースがいちばん問題なのだそう。
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