円安と金利上昇で「日本」は兵糧攻め状態 秀吉の「干殺し」「飢え殺し」に学ぶべき教訓

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食糧もエネルギーも過度に輸入頼み

 秀吉は2万ともいわれる大軍を率いて、鳥取城の東の帝釈山(現太閤ヶ平)に本陣を構え、鳥取城を取り囲んで70もの陣城を築き、総延長12キロにわたって包囲し、兵糧の補給路を完全に断った。そのうえで、包囲網の内側にある村々を攻撃し、農民たちが鳥取城に逃げ込むように仕向けた。それから1カ月ほどして城内の兵糧は尽き、その後、家畜や植物は食い尽くされ、餓死者が続出し、人肉の奪い合いが起きるほどの惨状となった。

 4カ月の籠城後、吉川経家は降伏して切腹。やせ細った城兵は解放されたが、配給された米を食らった兵士たちの半数は、胃痙攣を起こして死亡したという。

 兵糧攻めには時間を要するが、秀吉があえて選んだのは、味方の人的被害を最小にとどめられるからだと思われる。一方、三木城に籠城した別所長治も、鳥取城に籠城した吉川経家も、城の守りが固いので容易に落城しないと考えたのだろう。だが、どんなに堅城でも、どんなに防衛力が整備されていても、食糧が断たれれば軍事力はなんの役にも立たない。

 現在、日本の食糧自給率(カロリーベース)は38%(2024年)で、食糧の62%を海外からの輸入に頼っている。この数字が異常であることは、G7諸国の食糧自給率とくらべればすぐわかる。カナダ177%、フランス118%、アメリカ101%、ドイツ79%、イギリス59%、イタリア52%(いずれも2022年)で、日本は突出して低い。

 穀物自給率はさらに低く、日本は29%にすぎない。フランス177%、カナダ162%、アメリカ124%、ドイツ102%、イギリス73%(2021年)に対し、日本の輸入依存度は突出している。米にかぎれば自給率98%なのに、なぜこれほど低いのか。それはパンや麺類などの原材料である小麦のほか、トウモロコシなどの飼料用穀物などをほぼ輸入に頼っているからだ。ということは、国産のパンやうどん、パスタなどのほか、肉類や乳製品までが、輸入価格に大きく影響されるということである。

 そのうえ日本はエネルギー自給率が低い。2023年で15.3%と一時よりは高くなった。とはいえ、ほかのG7諸国はカナダ188.6%、アメリカ106.7%、イギリス67.5%、フランス49.3%、ドイツ35.3%、イタリア22.4%で、やはり日本は突出して低い。農産物の生産にも牧畜にも漁業にも、収穫された食糧を加工し運送するためにも、常にエネルギーは必要とされる。それをほぼすべて輸入に頼っているのだから、ほとんどの食料品価格がエネルギーの輸入価格に影響されてしまう。

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