“野球どころ”中国・四国地方のチームからプロ選手が出てこない「異常事態」 スカウト陣は「地区担当は必要がなくなる」と危機感

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東北は全国でも上位

 もともと中四国は野球が盛んな地域であり、都道府県別の春夏の甲子園優勝回数を見ても広島(12回・6位タイ)、愛媛(10回・8位)、徳島(6回・10位)、高知(5回・12位タイ)、香川(5回・12位タイ)が上位にランクインしている。プロ野球の歴史を振り返ってもこの地区出身で名選手となった例は多い。

 では、そんな“野球どころ”だった地域が近年苦戦している理由はどこにあるのだろうか。一つ挙げられる点は、過疎化や少子化による野球人口の減少だ。日本高野連のホームページには、1982年以降の部員数、加盟校数の推移が掲載されているが、部員数は2014年をピークに減少に転じ、2025年までに26.4%減ったと報告されている。

 これを高校野球における9地区(北海道、東北、関東・東京、東海、北信越、近畿、中国、四国、九州)別で部員数の減少率を見てみると、最も多かったのは東北の32.5%、次いで北信越(29.5%)、九州(29.1%)と続き、中国は21.4%で7番目、四国も22.9%で8番目の数字にとどまっているのだ。

 しかしながら、東北では、仙台育英(宮城)が2023年夏に甲子園初優勝を飾り、八戸学院光星、青森山田(いずれも青森)、花巻東(岩手)、聖光学院(福島)なども上位に進出するケースが増えている。

 必ずしも高校生の野球部員の減少が高校野球のレベル低下に直結しているわけではなく、むしろ東北の強豪高校は、関西圏を中心に全国から有望な選手を集めているチームが多い。ある球団のスカウトは、東北の大学野球のレベルが向上した影響も大きいのではないかと話す。

「以前は東北福祉大だけが目立っていましたが、最近は仙台大や富士大、八戸学院大といったチームからもどんどん選手が出てきます。出身校を見ると、北海道から九州、沖縄まで幅広いですよね。逆に、中国、四国、九州などの西日本にはそんな大学はほとんどありません。大学のレベルが上がれば、それだけ近くの高校の意識が高くなりますし、地元出身で、実力がある選手がそのまま地元の大学に残ることも増えるでしょう。あとは、仙台に楽天球団ができたことも大きいのではないでしょうか。楽天が運営する中学野球のクラブチームには東北全体から選手が集まってくるそうです。今ではどのカテゴリーも東北は全国でも上位のレベルだと思いますね」

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