“野球どころ”中国・四国地方のチームからプロ選手が出てこない「異常事態」 スカウト陣は「地区担当は必要がなくなる」と危機感
昨年12月に愛媛県松山市の「坊っちゃんスタジアム」で行われた大学野球日本代表候補の強化合宿。2026年の有力なドラフト候補となる選手が勢揃いしていたこともあって、スタンドにはNPB球団のスカウトはもちろん社会人野球関係者が多く視察に訪れていた。そんな中で中四国を担当するNPB球団のスカウトが嘆くようにこう話してくれた。【西尾典文/野球ライター】
広陵の不祥事は大きなマイナス
「1年間様々な選手を見に行きましたけど、中国と四国で今年(2025年)支配下で指名された選手は結局、3人だけですよ。年々、ドラフト候補になる選手が少なくなっているように感じますし、指名される選手は、ほとんどが独立リーグ(四国アイランドリーグ)の選手です。もう少し選手が出てきてくれないと(中国と四国の)担当は必要ないみたいなことになりかねないですよね」
昨年、支配下で指名された3人とは篠崎国忠(徳島インディゴソックス→中日3位)、藤森海斗(明徳義塾→日本ハム5位)、川田悠慎(四国銀行→西武6位)であり、いわゆる「上位指名」と言われる2位以上の選手はいなかった。また、育成ドラフトでは中四国のチームから6人が指名されているが、全員が四国アイランドリーグ所属の選手である。
スカウトの話にもあるように、これは昨年に限ったことではない。本文末に2020年から2024年の5年間で中四国のチームから支配下でドラフト指名された選手の一覧をまとめた。
合計27人のうち四国アイランドリーグの選手を除くと18人となっている。1年あたり平均3.6人であり、中四国は9県という広範囲を考えると物足りない数字だ。
中国、四国勢の苦戦の理由は、ドラフト会議の結果だけではない。高校野球の甲子園大会での優勝校を見ても、春は2003年の広陵(広島)、夏は2002年の明徳義塾(高知)が最後であり、20年以上頂点から遠ざかっている。
そんな状況に追い打ちをかけるように、中国地区の高校野球を牽引してきた広陵の部内で暴力事件が発覚。夏の甲子園大会期間中に出場辞退となった。その影響は尾を引いているという。ある中学野球の指導者が、以下のように話してくれた。
「広陵は、近隣の県からではなく、全国から有望な選手が集まっていましたが、暴力事件によって大きなイメージダウンとなったことは間違いありません。4月から入学が決まっていた中学生に対して、他の強豪校から『本当にそのまま広陵に行くのか?』という横槍があったという話も聞きます。復活にはしばらく時間がかかるかもしれませんね」
広陵は直接ドラフト指名を受ける選手は少ないものの、大学や社会人を経由してNPBで活躍している例は非常に多い。2024年のドラフトでも宗山塁(明治大→楽天1位)、渡部聖弥(大阪商業大→西武2位)が上位指名を受けており、1年目から一軍で活躍している。そんな強豪チームが不祥事を起こすことは、中国地区全体にとってもマイナスが大きいことは確かだろう。
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