福山雅治&堤真一、大泉洋&松田龍平、大沢たかお&玉木宏…男たちが錯綜する「冬のサスペンス映画」5選【厳冬の映画案内】
漫画を模倣する一家惨殺事件
〇「キャラクター」(2021年)
菅田将暉主演のダークサスペンス。「SEKAI NO OWARI」のフロントマン、Fukaseの映画初出演が大きな話題になった。
ある初冬の夜、漫画家のアシスタント・山城圭吾(菅田将暉)は、訪れた住宅街で一家殺人の現場と犯人・両角(Fukase)を目撃する。警察には犯人のことを告げずに、両角をモデルにした漫画を発表すると大ヒットとなり、恋人(高畑充希)と結婚し夢を実現するのだが……。
両角は、山城の作品をそっくり模倣した殺人を実行するようになる。最初は乗せてもらった車の中で一家4人を惨殺。冷たいみぞれが降る中、谷底の車の引き上げを見つめる刑事たち(小栗旬、中村獅童)がいる。画面全体が冬を象徴するブルーやグレーのトーンで統一され、作品の重さと冷たさが心に伝わってくるようだ。
この後両角は山城の前に現れ、こう言う。「先生が描いたものを、リアルに再現しておきましたから」と。話し終えた後に首をカクカクさせる仕草、妙に優しげな喋り方、人を殺す前の虚無的な目、サイコパスとはこういうものかと思わせる不気味さだ。これほどまでに殺人鬼に成りきれるFukaseに驚く。
それに対して菅田は「山城は、よくある映画の主人公っぽくない主人公。地味だし、自分から派手な動きをしない。今回は、引き算の芝居に徹底しようと思ってやってたんですよ」と語っている(「映画ナタリー」2021年6月8日)。菅田が作品と人物を、自分の中に取り入れて演じていることがよく分かる言葉だ。
類い稀な才能同士が、奇跡的に出会った作品かもしれない。
一体何が起きたのか?
〇「去年の冬、きみと別れ」(2018年)
芥川賞作家・中村文則の原作を映画化。最後まで真相が読めないストーリーが話題になったサスペンス映画だ。
ルポライター耶雲恭介(岩田剛典)は松田百合子(山本美月)との結婚を控えながら、目の見えない女性が焼死した未解決事件を追っている。その事件の元容疑者は著名な写真家・木原坂雄大(斎藤工)。恭介が木原坂に近づき真相を追う一方、木原坂は美しい百合子に目をつけ、2人をしだいに追い詰めていく……。
現在の舞台は冬ではない。しかし、湖面に雪が降りしきる場面が度々出てくる。これは誰の回想なのか。そしてタイトルの「去年の冬、きみと別れ」とは何のことか。第2章から始まる凝った構成に戸惑いつつ、引き込ませる手際、伏線の張り方は熟達している。原作の魅力を映像に昇華させた脚本の勝利だろう。
最後にモノローグで、「去年の冬、きみと別れ」の後に続く言葉が語られる。それを聞いて、初めてタイトルの意味が理解できるという仕掛けだ。
主人公・耶雲恭介役を演じる岩田剛典は、「三代目 J SOUL BROTHERS」のパフォーマーだが、役者としての評価も高い。今作は、ずっと悩みながら演じたというほど難しかったという。
昨年11月には岩田の主演映画「金髪」が公開された。校則に反抗して金髪にしてきた生徒と対峙する教師役だが、自分がすでにおじさんであることを自覚する姿を好演している。今、最も楽しみな役者のひとりだろう。
[2/3ページ]



