中山美穂、広末涼子、二階堂ふみ、吉永小百合…“白い世界”で展開する人間ドラマ、「雪景色が最高に映える映画」5選【真冬の映画案内】

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禁断の関係を描く衝撃作

〇「私の男」(2013年)

 原作は桜庭一樹の直木賞受賞作で、父娘の禁断の関係を描く衝撃作だ。雪とともに流氷が画面を覆い、強烈な印象を残す。

 地震で孤児になった花(二階堂ふみ)は、遠縁と名乗る男・淳悟(浅野忠信)に引き取られる。北海道・紋別で暮らす2人だったが、面倒を見てくれていた大塩(藤竜也)に、やがてその関係を知られることに……。

 冒頭、花がオホーツクの流氷の海から、這い上がるシーンから始まる。二階堂は「下に、セミドライ・スーツを着ていたのですが、水が入ってくるので寒かったですね。でも、何といっても手が大変でした。手袋だけだったので、感覚がリアルで『これは死ぬな』と思いました」と公開当時に語っている。

二階堂ふみが表現した“変貌”

 二階堂は、「ガマの油」(2008年)で、15歳でスクリーンデビューした。当初は宮崎あおいに似ているなどと評されたが、今や唯一無二の女優と言われる。その決定的評価となったのが「私の男」だろう。

 その実力がわかるシーンがある。後半は東京に出てきた淳悟と花の生活が描かれるが、花はOLになっている。そこには幼さと野暮ったさが残る少女の面影は全くなく、まるで別人が出現するのだ。1人の女性の変貌を、これほどまで表現できる二階堂の演技力に脱帽してしまう。

 今作で、日本アカデミー賞優秀主演女優賞などを得た二階堂は、その後も話題作への出演が続く。昨年は、かねて二階堂への憧れを公言していた広瀬すずと、「遠い山なみの光」での共演が話題になった。「宮崎あおい似」と言われた子役が、今や目標とされる女優へと成長したのだ。

冠雪の利尻富士の美しさ

〇「北のカナリアたち」(2012年)

 本作は、北海道を舞台にした吉永小百合主演の「北の零年」(2004年)、「北の桜守」(2018年)と並び「北の三部作」と呼ばれる。

 図書館司書の川島はる(吉永小百合)を、刑事が訪ねてきた。はるが教えていた小学校の教え子の1人が、殺人犯として逃亡しているという。その真相を知るために、6人のかつての生徒たち(森山未來、満島ひかり、勝地涼、宮崎あおい、小池栄子、松田龍平)と、再び会うことを決意する。やがて、20年前に起きた出来事が少しずつ明らかになり……。

 舞台は、北海道・稚内の西に浮かぶ礼文島。冠雪の利尻富士が一望できる丘がある。木村大作カメラマンは、どうしてもここから撮りたいと思い小学校のセットを作った。今では「北のカナリアパーク」として公開されている。

 大人になった生徒たちを演じるのは、誰もが今では主役級のぜいたくな布陣。全員がこの校舎に集まり、「歌を忘れたカナリア」を合唱するシーンは最大の見せ場だ。

吉永はなぜプロフェッショナルなのか

 吉永小百合は今年81歳になるが、その「若さ」に驚かされる。

 本作の父親役は里見浩太朗だが、実際の吉永との年齢差は9歳だ。「いのちの停車場」(2021年)では、同じ歳の田中泯が父親役。最新作「てっぺんの向こうにあなたがいる」(2025年)は、15歳差がある佐藤浩市と夫婦役だが、全く違和感がない。

 吉永は、ただ見た目が若いというだけではない。どんな年齢の役を演じても、観客を引き込む演技ができる女優だ。与えられた役の年齢にいかようにも応じられる。これをプロフェッショナルと呼びたい。

稲森浩介(いなもり・こうすけ)
映画解説者。出版社勤務時代は映画雑誌などを編集

デイリー新潮編集部

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