お台場ににじむ「衰退」感… イマーシブ東京は2年で閉業、ゆりかもめ・りんかい線30年の転身
観光色が薄れた地
ゆりかもめやりんかい線が開業してから30年という月日で、お台場は東京都の目論見通り商住共存の街へと静かに移行した。すでにお台場は、大規模商業施設をオープンさせて集客を図るような街ではなくなっている。
それは、ゆりかもめやりんかい線の車内を見れば明らかだろう。車内にはビッグサイトへ商談で向かうビジネスマンやお台場に住んでいると思しき住民たちが目立ち、遊びの来街者は少ない。
ゆりかもめは2006年に豊洲駅まで延伸開業したが、それもお台場の商住共存を後押しした。豊洲は2010年代からタワマンが急増し、都内を代表するタワマン街になった。それらタワマン民がゆりかもめを通勤の足として日常的に利用するようになった。
さらに、現在は停滞しているが、ゆりかもめには豊洲駅から勝どき方面へと延伸する計画があり、これもタワマン民が東京駅方面へと通勤するための足と想定されている。
観光色が薄れたお台場で、いまだ訪日外国人観光客を目にすることもある。しかし、撮影名所の自由の女神像やガンダム像の前にも黒山の人だかりはなく、全盛期のお台場を知る者としては悲哀を感じざるを得ない。
イマーシブ・フォート東京は、明らかにお台場の趨勢に逆行していた。イマーシブ・フォート東京は没入体験をウリにしたが、現在のお台場は日常色が強まっている。余韻も冷めないうちに日常へと引き戻されるような環境で、没入体験の集客施設が敬遠されるのは仕方がないことだろう。
テコ入れ策は
商業地として停滞するお台場に、テコ入れをする動きがないわけではない。2022年11月、小池百合子都知事はお台場に3つめの鉄道路線を整備すると発表した。
同線は「都心部・臨海地域地下鉄構想」(臨海地下鉄)ということで、東京駅と東京ビッグサイトを約6.1キロメートルで結ぶとしている。この鉄道路線は、お台場や東京五輪の選手村跡地を整備した晴海フラッグの住民たちに利用されることになる。
それは臨海地下鉄とほぼ同じルートで運行されている東京BRTの現況を見ても明らかだ。東京BRTは新橋駅と湾岸エリアを結ぶ高速輸送システムとして整備された。東京BRTの利用は堅調だが、その利用者の大半は地域住民が占めている。バスと鉄道では公共交通の性格は異なるものの、臨海地下鉄も東京BRTと同じように使われることになるだろう。つまり、住民が通勤・通学のために利用するということだ。
ゆりかもめとりんかい線はお台場の発展を牽引した立役者だが、その役割は30年間で大きく変わってしまった。



