医者に「死んでもいいんですか?」と言われても… 佐藤B作が舞台に立ち続ける理由

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出会いに恵まれた半生

 劇団東京ヴォードヴィルショーを主宰し、舞台だけでなく映画やドラマでも活躍する、ベテラン俳優の佐藤B作(76)が2月に喜寿を迎える。

「こんなに長く俳優を続けられるなんて、正直に言って思っていなかった。自分でも信じられないね」

 演劇人を目指して早大商学部を中退し、24歳の若さで劇団を立ち上げてから半世紀以上というご本人はそう語る。

「ひとつ言えるのは、出会った人たちに助けられてきたということ。テレビに出るきっかけを作ってくれた萩本欽一さん(84)はもとより、劇団の財産になっている舞台『その場しのぎの男たち』の台本を書いてくれた三谷幸喜さん(64)とかね。以前に客演していただいた際に“稽古場での笑いを信じちゃいけない”と、素敵な金言をポロっと口にされた伊東四朗さん(88)の存在も大きい。出会いに恵まれてきた半生だと思います」

家族にはもう会えないと……

 佐藤は還暦を目前に控えた平成19年に、胃がんと診断されるという苛烈な経験をしている。

「自覚症状はなかったんだけど、健康診断を受けたら胃がんが見つかってね。医師に“すぐに手術をするべきです”と言われたけれど、あの時は劇団の公演が入っていた。それで“ひと月だけ待ってほしいのですが”と頼んだところ“死んでもいいんですか?”と怒られてしまいました」

 悩んだ結果、佐藤は予定通りに公演を行ったという。

「何とか手術まで持ちこたえましたが、あの時は僕も死を覚悟していたんです。手術室に入る時、家族にはもう会えないと思って“さようなら”と伝えたくらいでした」

 胃の3分の2を切除する手術は成功したものの、翌年には食道への転移が見つかった。

「こちらは、放射線治療と抗がん剤治療の併用で何とか完治しました。それまでは、あちこち深夜まで酒を飲み歩くなど無茶な生活を続けていたけれど、それからは健康に気を付けるようになりました。睡眠にも気を使い、しっかり眠るようにもなりましたね」

 昨年10月には東京・明治座において、下積み時代からの演劇仲間である柄本明(77)、笹野高史(77)と共演している。

「観客席を見たら“なんでこんなに”と驚くほど、連日、たくさんのお客さんに来ていただきました。良い俳優と一緒に仕事をするのは楽しいけれど、例えば柄本の演技を見ると“オレ、負けちゃったな”なんて思うこともしばしば。もっと頑張らなくちゃなあって思うんだよ。その点、笹野には、そういうふうに感じたことはないんだけど(笑)」

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