“一流企業の証明書”「統合報告書」が暴き出す不適切会計の前触れ 「ニデック」の報告書に“書かれなかったこと”とは

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「ニデック」の統合報告書にあった“違和感”

 統合報告書に何が書かれているのか、あるいは何が書かれていないのか。そこからその企業の「暗部」が見えることもある。

 例えば、不適切会計問題の渦中にある「ニデック」。昨年12月19日には、創業者である永守重信氏が企業風土についての十分な説明なしに「代表取締役グローバルグループ代表」を辞任したことでも批判を集めているが、

「実はこの問題の兆しは、ニデックの24年の統合報告書にすでに表れていたのです」

 と、先の田中辰巳氏は指摘する。

「ニデックはM&Aを繰り返して成長してきた企業です。企業買収では、買収される側が自社の業績を良く見せようとするため、不正会計のリスクは付き物。ニデックのような会社にとっては特に、会計上のリスク対策は極めて重要性の高い問題だったはずです」

 しかし、ニデックの統合報告書の「リスクマネジメント」のページには、

「M&Aに係る統合プロセス(PMI)についての漠然とした記載はあれど、“不正会計”や“会計上のリスク”という表現は見当たらなかった。M&Aを行う大企業の統合報告書に、不正会計についての記載がないのはいくらなんでも危なすぎます。M&Aに詳しい投資家がニデックの統合報告書を読んでいたら、一目でその点に強い違和感を抱いたはずです」(同)

 ニデックの統合報告書には「ウェルビーイング」に関する記述もなかった。

「今回の不適切会計の背景には、歯切れの良い言動で知られる永守さんが支配する体育会系の企業風土のもとで、会計担当が萎縮して問題を指摘できなかったという要因もあったとの見方もあります。つまりこの問題は、従業員が自由闊達に発言できるウェルビーイングな社風がないという、リスクに直結する課題を会社がおろそかにしてきた結果と見ることもできるのです」(同)

 有料版の記事【【投資家必読】「ニデック」「伊藤忠」の将来性は? 有価証券報告書だけじゃない 「優良企業」と「ダメ企業」を見極める「統合報告書」“8つの内容要素”とは】では、統合報告書ブームの実態や、報告書の各項目が持つ意味などについて詳しく報じている。

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