東京の人には分からない…コミックマーケットから“転売”がなくならない根本的な理由

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 年末年始にはコミックマーケットをはじめ、アイドルやバンドのコンサートなど様々なイベントが開催された。そうした会場で販売されてきたグッズが、フリマサイトやオークションサイトで転売される例が続出している。特に、東京・有明で開催される「コミックマーケット」で頒布された同人誌やグッズの転売はいつも大きな議論を呼ぶ。

 転売が相次ぐ背景には、企業が製作するグッズとは異なり、同人誌などはあくまで個人が製作するグッズという事情がある。後者の場合、通販などの対応ができないサークルも多く、さらに“地方在住者の需要の高さ”も転売を加速させる要因のようだ。転売の規制をすべきという意見は根強いが、地方と首都圏の格差をますます広げるのではないかという指摘もあるのだ。【文・取材=宮原多可志】

1日で会場を回り切れない

 コミケは日本最大級の動員数を誇るイベントであり、会場(東京ビッグサイト)確保の都合により、例年お盆と年末に開催されている。この時期は言うまでもなく新幹線や高速バスの価格が高騰する繁忙期で、予約もとりにくくなる。そのため、有明まで手軽に行ける首都圏在住者と比べると、地方在住者には極めてハンデが大きいイベントである。

コロナ騒動後のインバウンド観光客の増加や、円安に伴う著しい物価高などの影響で、交通費や宿泊費が軒並み高騰している。地方在住者にとっては、東京との往復だけで数万円かかるのもザラだ。そのため、頒布価格よりも1万円割高になる程度なら「転売屋から買う方が安い」という事態になっている。

 コミケでは同人誌を買うために数時間並ぶことも珍しくない。そのうえ近年は2日間しか開催されず、買い物に充てられる時間は1日目が6時間30分、2日目は5時30分しかなく、複数のサークルで買い物をしたい人は時間内で回り切れないこともある。そして、もっとも深刻なのは、並んだのに完売してしまって買えないリスクがあることだ。

 会場も混雑するため、人混みが苦手な人にとっては過酷である。夏は来場者の熱気で会場内に“コミケ雲”なるものができるといわれるほど、館内は蒸し暑く、外は直射日光が照りつける。冬になると今度は有明の海風が寒い。こうしたコミケ特有の環境ゆえ、行ってみたいが参加をためらう人も少なくないのである。

もともと転売屋の需要が高い

 アニメショップやコンサートのグッズが早々と完売し、運営側が謝罪に追い込まれるケースは頻繁に起こっている。コミケでも、人気のあるサークルにはファンから「増刷してほしい」という要望が寄せられることがままあるという。しかし、コミケで頒布されるものはあくまでも個人が作る同人誌であり、公式グッズではない。

 そのため、増刷するかどうかは個々のサークルの裁量となる。なかには複数名でやっているサークルもあるが、個人で細々と運営し、通販などの対応ができないサークルもある。そもそも、好きで作っているのだから量産はしたくない、赤字覚悟で配布しているというサークルも存在するのだ。

 こうした様々な事情から、転売屋から買った方がコスパやタイパがよいためコミケでは転売屋の需要が以前から高い。同人誌のヘビーユーザーほど、転売屋をうまく利用してきたとする見解もある。現に、30年以上コミケに参加しているというファンは、「転売屋は買い物代行のようなもの」「確実に同人誌を読むためには必要」と話す。

 コミケが終わるとフリマサイトやオークションサイト、さらに秋葉原や池袋にある中古アニメショップには転売屋が買い付けた同人誌がすぐに出品される。そして、それらは瞬く間に売れていく。こうした光景は以前から見られるもので、同人誌の愛好家と転売屋が共存していることがよくわかる。

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