東京の人には分からない…コミックマーケットから“転売”がなくならない根本的な理由
今回は色紙の転売が騒動に
今回のコミケを巡って取り沙汰されたのは、数千円で頒布された色紙がフリマサイトで10倍もの額で転売されていた件である。その是非について議論となったが、「作家本人から買うからこそ意味があるのに」などの意見が飛び交い、ネット民は総じて転売屋に対して否定的であった。
以前は、同人誌の購入者にサークル主が無料でイラストを描く“スケッチブック(スケブ)”と呼ばれるサービスが見られたが、近年は有料で手描きの色紙を販売するのが一般的になりつつある。色紙の人気の高まりは、デジタルや生成AIなどの普及に伴ってアナログの価値が再評価され、手描きの魅力が高まっていることと無縁ではない。
漫画家やイラストレーターの色紙や原画にこだわる“直筆系”のコレクターは、決して多くない。現在の推し活市場では、グッズの陰であまり注目されることがない存在だ。しかし、総数は多くないものの個々の愛好家が熱狂的であり、作家の手描きグッズを手に入れるために金銭を惜しまないという人は以前から存在していた。
色紙は美術品としての需要もあるため、一般のグッズとは異なるという指摘もある。一点物ということで、オークション形式で販売しているサークルもある。今後も需要が高まることが予想されているが、転売対策を行うのか、参加者の良心に任せるのかはサークルの裁量に委ねられることになりそうだ。
転売屋とは共存すべき
長年コミケに参加しているファンは、一連の転売騒動をどう見ているのか。前出のファンが「あくまでも一つの意見として」と前置きしつつ、このように話す。
「はっきり言って、コミケは時間の制約なども大きいため、長年参加しているファンで転売屋のお世話になったことがない人はいないと思います。秋葉原などの中古ショップだって、実際に転売屋が持ち込んだものを買い取っているでしょうから、広い意味では転売屋ですよね。だから、過度な転売屋叩きはどうかと思うんですよ。
サークル側に通販をしろとか、予約制にしろという意見もありますが、それはかなり酷な話。コミケは企業がモノを売るイベントとは違いますし、この時期に仕事があって、行きたいけれど行けない人もいる。そういったニーズに転売屋が応えている部分は、正直あると思うんですよね。
コミケは自由な表現の場だと思うし、あまり厳しい制約を課すべきではないと思います。一度も中古屋やフリマサイトで同人誌を買ったことがない人は、転売屋に石を投げていいかもしれませんが、そんな人はいないのでは。批判をしつつも、転売屋を上手く利用してきているのがコミケの参加者ですし、今後もそういった共存の関係は続くと思います」
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