偏差値66の名門「駒場東邦中学校」サッカー部が全国3位に…監督が明かす「サッカーを続けながら東大に合格する生徒」の特徴

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 2026年もスタートし、正月を終え、本格的な受験シーズンが近づくなか、多くの受験生やそのご家族らは、不安や焦りを感じながらもラストスパートをかけていることだろう。

 駒場東邦中学校・高等学校は都内屈指の難関私立中高一貫校として知られ、附属高校からは39名(2025年・既卒13名含む)が東大合格を掴んだという進学実績も目を見張るが、昨年8月に行われた全国中学校サッカー大会(宮崎県)では、中学サッカー部が並いる強豪を次々と打ち破ってベスト4(全国3位タイ)に進出、多くの人々を驚かせた。

 なぜ進学校でありながらも、スポーツで好成績を収められたのか。サッカー部を率いる監督の稲冨貴之(いなとみ・たかし)氏に、文武両道を成し遂げる秘訣を伺った。(全2回のうち第1回)【取材・文=白鳥純一】

サッカーへの熱意を伝え続けた14年間

 稲冨氏がサッカー部を率いる駒場東邦中学校は、東京・世田谷区にある男子校で、生徒は1学年あたり約240名。中学受験進学塾大手・四谷大塚の「Aライン80偏差値」は66を示している。完全中高一貫校のため、高校からの募集はなく、入学には毎年2月1日に行われる中学入試を受験し、合格を手にしなければならない。

 他の強豪校のようなスポーツ推薦制度も設けられていないため、試験に合格した新入生の何人がサッカー部を選ぶのかわからない状況の中で、稲冨氏はチームの指導にあたっている。

 日本体育大学を卒業後、新卒で駒場東邦中学・高校に非常勤講師として赴任した稲冨氏は、5年間キャリアを積み重ねた後に専任教諭となり、そのキャリアは今年4月で13年目を迎える。

「赴任当初は、僕のサッカーに対する熱い思いに生徒たちが戸惑う様子も垣間見えましたし、これまでに僕がプレーしてきた環境と進学校の違いや、部員たちのサッカーに対する向き合い方にズレを感じることもあって、思い悩んだ時期もありました」

 非常勤で赴任し、サッカー部の指導を任された1年目をそう振り返る稲冨氏は、勉強の比重が高い進学校でも決して折れることなく、自身の熱意を生徒たちに伝え続けた。

全国大会出場で、モチベーションが高まった

「世田谷区大会を勝ち抜き都大会への進出を目指す」ことを最初の目標に掲げ、地道な強化を進めた稲冨氏の思いがようやく実り、チームは2021年12月の東京都中学校サッカー新人大会で初優勝。翌年夏の都大会では準優勝の成績を収め、同校初の関東大会進出を決めると周囲を驚かせた。初の快挙達成で勢いに乗るチームは、その後も堂々とした戦いぶりを見せて関東大会3位になり、全国大会(2022年8月)に駒を進めた。

 稲冨氏や生徒たちにとっても、学校としても初となる全国の舞台では、日章学園(宮崎県)の前に屈して初戦で大会を去ったが、これを機に「努力が報われることがわかった部員たちの目の色は変わり、サッカーに対するモチベーションも一気に高まった」という。

「全国大会出場が『偶然だった』と言われることがないように、これからも頑張っていこう!」

 そう部員たちを鼓舞し、チームは2024年にも全国大会出場を果たすも、再び初戦で敗退。昨年4月に始動した新チームは「全国大会の初勝利」を目標に掲げ、3学年総勢101名の部員たちは、限られた時間とグラウンドのスペースを上手に使いながら、練習に励んだ。

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