コンプラ時代になぜ“陰謀論”を扱えるのか 「やりすぎ都市伝説」が芸人を使い、ギリギリを攻め続けられるワケ
特番として不定期に放送
2025年12月26日、テレビ東京で「やりすぎ都市伝説2025 冬の3時間SP」が放送された。特番として不定期に放送されている「やりすぎ都市伝説」は、都市伝説、陰謀論、超常現象といった、テレビでは扱いづらいテーマを正面から取り上げ続けてきた番組である。長年にわたって根強い人気を保ち、今ではテレビ東京を代表する看板番組の1つとして定着している。【ラリー遠田/お笑い評論家】
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この番組が、いわゆるオカルト好きにとどまらず、幅広い視聴者から支持されている最大の理由は「オカルトを無理に信じさせようとしていない」点にある。一般にオカルト系の番組が敬遠されがちなのは、事実と虚構の境界を曖昧にして、視聴者を一方的に煽ったり、誤解を与えたりする危険性があるからだ。近年はテレビ業界でもコンプライアンスが強く意識されるようになり、テレビ局側としてもそのような形の番組作りは難しくなっている。
そんな中で「やりすぎ都市伝説」は、「そういう噂がある」「こういう説を唱えている人がいる」というスタンスを一貫して崩さない。真偽不明であること、裏取りができていないこと、話半分で聞く必要があることが、番組全体の暗黙の前提になっている。だからこそ視聴者は、無理に信じる必要もなければ、頭ごなしに否定する必要もなく、適度な距離感を保ったまま楽しむことができる。
それを象徴しているのが「信じるか信じないかはあなた次第です」という決めフレーズだ。芸人たちが自説を述べた後、最後にこの一言を添えることで、判断は受け手に委ねられる。この言葉は「Mr.都市伝説」として知られる関暁夫の名言であり、番組のコンセプトを端的に表している。信憑性についてはいったん保留にしたまま、多様な説を面白おかしく紹介できる構造になっているのだ。
また、この番組が扱っているのは、単なる怪談や心霊現象にとどまらず、「世界の見え方」そのものを揺さぶるような話題が多い。都市伝説や陰謀論は、事実かどうかは別として「私たちが当たり前だと思っている社会や歴史の裏側には、別の構造があるのではないか」という疑念を喚起する力を持っている。政治、経済、テクノロジー、宗教、宇宙といった幅広いテーマが絡み合うことで、話は単なる娯楽を超えて「この世界は、本当はどうなっているのか」という問いへと広がっていく。ここに知的好奇心を刺激する独特の魅力がある。
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