「経営責任は免れない」浜岡原発データ不正で辞任必至か 中部電力社長・電事連会長「林欣吾」氏の進退

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 国のエネルギー政策に多大な影響を与える事態である。再稼働を目指していた静岡・浜岡原発の耐震設計に関わるデータを、中部電力が不正に操作していたことが発覚。不祥事が続く同社には一層厳しい目が向けられる中、電気事業連合会の会長も務める林欣吾社長の進退に大きな注目が集まっている。(桜井燈/ジャーナリスト)

 中部電力が浜岡原子力発電所(静岡県)の安全審査でデータを不正に操作していた問題で、林欣吾社長の引責辞任が避けられない情勢となった。林社長は大手電力会社で構成する電気事業連合会の会長も務めているが、「業界の代表として相応しくない」(電力会社幹部)との声が強まっており、電事連会長を辞任した後、中部電力が設置した第三者委員会による調査報告がまとまった段階で社長職も退く方向だ。

 原発の安全審査を担当する原子力規制委員会は、今回の検査不正について「原子力安全を破壊する前代未聞の事案だ」(山中伸介委員長)と激怒しており、浜岡原発の安全審査を中断した。次の電事連会長は関西電力の森望社長が最有力だが、中部電力の社内は混乱しており、林社長の後任選びは難航する可能性もある。

「経営陣の経営責任は免れない」

 中部電力によると、同社の原子力部門の担当者が浜岡原発の耐震設計の目安となる「基準地震動」を巡り、地震の揺れを小さく見せるために都合の良いデータを意図的に選定して審査を受けていた。この虚偽データに基づいて規制委は23年9月、同原発の基準地震動に関して「おおむね了承」と決定し、防潮堤の高さなどの具体的な検討作業を進めていた。しかし、規制委に昨年2月、「審査データを不正に操作した疑いがある」との通報が寄せられ、同委が中部電力に命じて調査したところ、社員による不正が発覚した。

 規制委関係者は「今回の不正はデータの捏造に近く、これまでの原発を巡る不祥事とは本質的に異なる。極めて悪質と言わざるを得ない」と非難する。規制委は浜岡原発への安全審査を中断し、月内にも同社に立ち入り検査に入る予定だ。規制委内では「原発の安全審査の根底を揺るがす不正であり、浜岡原発の安全審査は不合格とすべきではないか」との強硬論さえ噴出している。経済産業省幹部も「事業者自身が原発の安全性を否定するような不正を働くとは驚愕というほかない。たとえ組織的な不正はなくても、経営陣の経営責任は免れない」と漏らす。

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