「経営責任は免れない」浜岡原発データ不正で辞任必至か 中部電力社長・電事連会長「林欣吾」氏の進退
電事連会長の続投は困難
これに対し、林社長は1月5日の記者会見で「社内の聞き取り調査では、(地震の揺れを)過小評価していたと確認した」と不正の事実を認めた上で、「当社の原子力事業に対する信頼を失墜させた。極めて深刻に受け止めている」と謝罪し、外部の専門家による第三者委員会で調査報告をまとめる方針を示した。林氏は中部電力社長の進退に関しては「第三者委の調査を踏まえて総合的に考える」と述べるにとどまった。
すでに中部電力は経産省に加え、規制委からも検査不正に関する報告を求められており、林社長は御前崎市など原発立地自治体に対する謝罪にも追われている。このため、電力業界内では「このまま林社長が原発の活用を掲げる電事連の会長職を続けるのは困難だ」(大手電力幹部)との見方が急速に強まっている。
24年4月に電事連会長に就いた林社長の会長任期は、この3月末で1期2年が終了する。昨年までは会長続投が有力視されていたが、今回の不祥事を受けて早ければ1月中にも電事連会長を辞任し、関西電力の森社長と交代する方向で調整を始めた模様だ。「デイリー新潮」の取材に電事連は「現時点において、電気事業連合会役員の変更等について、決まったものはございません」と説明している。
利益優先の経営体質
問題は中部電力の社長をいつまで続けるかである。第三者委員会による調査報告は今春にもまとまる見通しだ。これを受けて不正の原因究明や再発防止策、企業統治の強化などを含む報告を当局に提出することになる。その際には林社長を含めた経営陣の経営責任も明確にする必要があり、社長の引責辞任は必至の情勢だ。当局からは重い行政処分を課せられることになるだろう。
ただ、同社では昨年11月にも原発の安全対策工事を巡り、原子力部門が約6年にわたって契約を担当する調達部門を通さず、建設会社に直接、仕様変更を依頼して正式な契約変更や精算手続きを怠っていた問題が発覚。未精算の工事代金は数十億円に上り、原発担当の副社長らが取締役会に報告していなかったとして辞任に追い込まれる不祥事が起きたばかりだ。林社長はその際も原子力部門の閉鎖性を問題視していた。今回の新たな不祥事に対し、林社長は「原子力部門の解体的な再構築を視野に入れ、覚悟を持って取り組んでいく」とするが、業界関係者は「一連の原子力部門の不祥事は、中部電力の利益優先の経営体質が招いた」と指摘する。
同社は大手電力の中でも利益重視の経営方針を掲げており、それが原発の安全対策にも影響を与えたとの見方である。浜岡原発に対する規制委の厳格な安全審査が長引く中で、本来は安全性の確保を最も優先すべき原子力部門も再稼働に向けてコスト削減を迫られ、それが不適切な仕様変更や検査データの不正につながったのではないか。
同社は林社長の進退を問う「デイリー新潮」の取材に「本事案による経営層の責任については、第三者委員会による調査報告が出された後に、総合的に判断してまいります」と回答した。全国で原発再稼働がようやく進展する機運が高まってきた矢先の原発不正だけに、やはり中部電力の責任は極めて重大である。





