AI時代に「ダイアン津田」が最強なワケ 2026年にブレークする芸人の“絶対条件”とは

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常に感情をむき出し

 今年ブレークするのはどんな芸人なのか。正確に予想するのは難しいが、ヒントがあるとすれば、昨年にダイアンの津田篤宏が大ブレークしたことだ。津田の魅力は、常に感情をむき出しにして、下心や怒りなどを包み隠さず表現していたことだ。ありのままの人間そのものを表に出すことで、彼はCMにも引っ張りだこになるほどの存在となった。

 最近ではAIの進化のスピードが著しい。人間以上に正確に計算をして、思考をめぐらせて、さまざまな課題に対応できるようになっている。そんなAI全盛の時代だからこそ、人前に出るエンターテイナーには「人間にしかできないこと」が強く求められる。それはお笑い界でも同じだ。

 津田は生々しい人間味そのものを売りにしている。与えられたお題に対して常に正確に答えるだけの「大喜利ロボット」のような芸人は、今の時代にはそこまで求められていない。今後ブレークするのも、津田のような人間的な魅力のある芸人ということになるのではないか。

 また、人気のバラエティ番組を手がけていたテレビ局員が続々と独立して、配信系のメディアで活動するようになってきている。この流れは今後も続くだろう。規制が厳しい上に、制作費が削られ、影響力も下がっている地上波テレビだけで仕事をすることに限界を感じる人が増えていて、ほかのメディアにどんどん移っている。

 芸人に関しても事情は同じだ。YouTubeなどに軸足を置いて、そこでお笑い濃度の濃いコンテンツを自分たちで作っていく芸人が増えてきている。

 そもそも笑いの感覚というのは個人差が激しいものであり、多様なニーズに対応するさまざまな種類のコンテンツが並立して存在することが健全な形であると言える。テレビ一極集中の時代が終わりつつあるのは、お笑い業界にとっては悪いことではないのかもしれない。

ラリー遠田(らりー・とおだ)
1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり 〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)、『松本人志とお笑いとテレビ』(中公新書ラクレ)など著書多数。

デイリー新潮編集部

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