最近の新築マンションが「1億円超えでもどこか安っぽい」理由 データが語る“横・縦・質”の削られっぷり
「専有面積」には敏感でも、「階高」には無頓着
さらに言えば、削られたのは「横(面積)」だけではない。デベロッパーのコストカットの刃は、今や「垂直方向」にも及んでいる。それが、マンションの骨格を決める「階高(かいだか)」だ。
ここでいう階高とは、階下の床スラブ(コンクリートの床板)の上面から、階上の床スラブの上面までの高さを指す。住戸の「垂直方向の容積」を決定づける数値だ。
販売価格を抑えるために、玄関前のポーチをなくし、内装のグレードを落とす。こうした「目に見えるコストダウン」は購入検討者も気づきやすい。しかし、階高という「一度建ててしまったら二度と修正できない部分」でのスペック低下は、じわじわと、しかし確実に進行している。
階高を低くすれば、生コンや鉄筋の量を減らせるだけでなく、内装面積も削ることができる。ただその結果、天井は低くなってしまう。
厄介なのは、大半の買い手が「専有面積」には敏感でも、「階高」には無頓着なことだ。不動産情報サイトの隅々まで読んでも、住戸の断面図にお目にかかる機会はそう多くない。
この「隠れたスペックの低下」を検証すべく、東京都環境局のデータをもとに、東京23区の新築分譲マンション約1900件を分析すると、「空間の二極化」が鮮明になった(次図)。
・20階建て未満(一般的なマンション)
平均階高は2006年の3.17メートルをピークに、右肩下がりで減少。近年は3.06~3.10メートル付近で低迷しており、この20年で10cm近くも「垂直方向の空間」が削り取られた。
・20階建て以上(タワーマンション)
対照的に平均階高が上昇傾向にあり、近年では3.6メートル前後で推移。高価格帯ゆえに、高級感を維持するためのスペックを維持できている。
つまり、富裕層向けのタワーマンションが空に向かってゆとりを広げる裏で、一般的な中低層マンションは、コストカットの影響を最も強く受けているというわけだ。かつてのマンションには、標準的な物件であっても、今よりずっと構造的な「余裕」があったのである。
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