ローン金利が上昇しても騒ぐ必要はない マンションが買いやすい時代が近づく理由
マンション価格も金利も上昇し続ける
2025年11月に東京23区内で発売された新築マンションの平均価格は、不動産経済研究所によると、前年同月を14.1%上回る1億2,420万円で、7カ月続けて1億円の大台を超えた。しかも、この数字にして、最近にしては低いほうなのである。10月は前年同月を18.3%上回って1億5,313万円で、4月から9月の平均価格は1億3,309万円。これは前年の同時期より20.4%も上昇しており、年度の上半期としては3年連続の過去最高値更新となった。
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このところ毎年十数%ずつ高くなっており、もはや手が出ないと悲鳴を上げている人が多いと聞く。そこに住宅ローン金利の上昇が重なったものだから、マイホームを持ちたいと願う人が頭を悩ませるのも無理はない。
12月19日、日本銀行は周知のとおり、政策金利を0.25%引き上げて0.75%とした。政策金利が0.5%を超えるのは、1995年8月以来、30年ぶりとなった。長期金利の代表的指標とされる10年国債の利回りも、高市早苗政権の「責任ある積極財政」への懸念が市場で高まった影響で上昇局面にあったところに、日銀の利上げが重なったため、2%を超え、一時は2.1%をつけた。これは1999年2月以来、ほぼ27年ぶりの水準だった。
住宅ローンでは、利用者が多い変動金利は日銀の政策金利に連動して上昇するので、半年ほどのタイムラグを経て、今後上昇するだろう。また、固定金利は長期金利の動向に左右されるので、固定金利の代表ともいうべき「フラット35」も、2026年1月からは2%を超える水準になっている。
12月の政策金利引き上げに際しては、日銀には円安の進行を止めたいという思惑があったはずだが、現実には、円安は止まらなかった。このため2026年には、比較的早い時期に再度の利上げがあるかもしれない。仮に金利が0.75%だと、5,000万円を借りて35年で完済する場合、毎月の返済額は13万5,392円だが、金利が1.0%に上昇すると、返済額は5,750円増えて14万1,143円になる。1.25%になれば、返済額は1万円以上増える。
マンションの購入を考えている人の多くは、こうした金利上昇をネガティブに受け止めているだろう。23区内での購入を検討しているのであれば、なおさらである。だが、以下のように少し広い視点を持ったうえで、少し先まで見通して考えてみると、必ずしも悪い状況ではないことに気づくと思う。
物価高騰にくらべれば金利はかなり低い
第1に、現在の日本は大変なインフレに見舞われている、ということを考えてほしい。
このたび日銀は、12月18日と19日の金融政策決定会合で利上げを決めたが、その会合では、日本の政策金利が、物価上昇率を考慮した実質では「群を抜いて世界最低水準」だという声が、多くの政策委員から上ったという。実際、日本の消費者物価の上昇率はすでに3%に達しており、0.75%の政策金利が30年ぶりの高い水準だといったところで、実質金利はマイナス2%より低いことになる。
ちなみに現在、アメリカでは実質金利はプラスで、ユーロ圏ではほぼゼロ。日銀の利上げによって日本と米欧の金利差が小さくなれば、円安の進行が止まることも期待されるが、今回は止まらなかった。実質金利の差が日本と米欧では相変わらず開いていることが、その大きな原因であることは疑いない。
それはともかく、物価の上昇率より金利のそれがかなり低いのは、ローンの借り手にとっては、相変わらずかなり有利な状況である。つまり、住宅ローン金利も物価のひとつだと考えると、日々の買い物を直撃する物価高にくらべて、上げ幅がかなり抑えられていることになる。
2013年、安倍晋三総理(当時)の経済政策「アベノミクス」がはじまって以来、日銀は2%の安定的な物価上昇と、それを上回る賃上げを目標に据えてきた。いまのところ、賃上げが物価に追いついていないが、現在、企業に対する賃上げ圧力は高まっており、応じる企業も増えるとみられる。一定程度の賃上げが今後も持続するなら、また、高市総理が胸を張る「物価高対策」が進められるのであれば、実質金利がマイナスのうちは、住宅ローン金利が多少上がっても、あたふたする必要はないといえる。
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