4200万円入りのジュラルミントランクが消えた…昭和の“銀行事件”はなぜ未解決が多いのか ベテラン刑事も漏らした「後味の悪さ」

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「犯人は絶対内部」とウワサ

 当時、在籍していた女子行員の1人は、

「土曜日の昼過ぎでしょう。残ってる人は少ないわけよ。全部で20人も残っていたかしら。だから、その20人は大変だったようよ。特に“空白の時間”以後、出納課に戻った課長と、嘱託の男性2人は気の毒なくらい疑われたわね。課長は今でも銀行に残ってるけど、まだ部長代理。あれから5年以上たってるんだから、本当ならもっと出世してなきゃウソよ。事件が響いたんでしょうね」

 当の課長は、「事件後半年くらいは警察の事情聴取などで、仕事もろくに手がつかなかった」そうだが、他の20人のほとんども警察でポリグラフ(ウソ発見器)にかけられたという。

 だが、その中の1人は、

「もちろん、犯人は僕じゃありませんが、僕らは、“犯人は絶対内部の人間”とウワサしあったものですよ。正直いいますとね、たった1人だけポリグラフに反応した人物がいましてね。バイクで支店などを回り、書類の受け渡しなんかをしていた外務員の男性です」

痴漢行為を密告されて逮捕?

 確かにこの人物、日常の行動からして、最も容疑が濃いと目されてもいたしかたない立場にあった。何せサラ金に多額の借金をし、当日のアリパイも不明。事件の翌年の2月に退職し、今は異業種の企業に勤めているこの人物に話を聞くと、

「確かに随分調べられた。オレが疑われたのは知っていた。競馬でつくった借金があったからね。やめたのはサラ金の借金が原因だ。でも、オレはポリグラフに反応なんか出なかったよ」

 もう1人、女子行員たちに、「あの人が怪しい」といわれていたのが、電車内で痴漢を働いて新聞沙汰になった別の外務員の男性。行員の1人が推測する。

「痴漢行為は事実だが、逮捕されたのは、行内の誰かが鉄道公安室に彼のいかがわしい行為を密告したからといわれている。つまり、疑わしい人物を斬るためだったというわけ」

 ***

 第2回【疑われないよう「家の新築を延期」「披露宴を縮小」…1000万円が“消えた”昭和の銀行、行員たちが陥ったパニック状態】では、貸金庫から現金が消え、当時の支店長が自ら命を絶った事件などを振り返る。

デイリー新潮編集部

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