4200万円入りのジュラルミントランクが消えた…昭和の“銀行事件”はなぜ未解決が多いのか ベテラン刑事も漏らした「後味の悪さ」

国内 社会

  • ブックマーク

ベテラン刑事ですら「後味が悪い」

 が、この2件とて捜査はかなり難航した。〈C銀行D支店〉の場合は、犯人のD支店調査役(48)が、松本清張氏の小説『点と線』ばりの数字のトリックを駆使してアリバイを主張、散々捜査員を手こずらせたものだった。

〈E銀行〉の場合は、悲劇に悲劇が重なった事件だった。銀行から「金を持ち逃げした」と犯人扱いされた集金係は、実は本当の犯人に殺されており、ようやく汚名が晴れたのはなんと6年後。その直前に、集金係の妻が、心労のあまり自殺するという痛ましい出来事も起こっている。

 銀行犯罪に何度もかかわったあるベテラン刑事なども、

「この種の捜査には、いつもなんともいえない後味の悪さが残る。当事者である銀行はほとんどの場合、ろくに協力もしてくれない。重要な証拠になる預金者名簿も、“それは預金者の秘密だから”といって見せてくれないし、行員の誰もが、自分の立場を守ることだけにキュウキュウとして、知らぬ存ぜぬの一点張りですから……」

 と、銀行という“厚い壁”に向かって不満を漏らすのだ。

置かれていた2時間で消えたトランク

 サラ金利用者の1人を警察が徹底的にマークしながら、“厚い壁”に阻まれ、時効まであと1年10カ月に迫ってしまったのが、昭和53年11月に〈F銀行本店〉で起こった4200万円盗難事件――。

 事件は、G支店から本店に送られて来た4200万円入りのジュラルミンのトランクが、忽然と姿を消したところから幕が開く。送られて来たのは土曜日の昼。その後、問題のトランクは本店の現金トランク6個と共に、1階の出納課に2時間近く置いておかれる。

 午後2時10分に、地下金庫への収納作業が始まり、翌々日の月曜日、金庫を開けてみると、丸にG支店マーク入りのトランクだけが消えていた。が、これは金庫から消えたのではなく、その後の捜査で出納課に置かれていた2時間のうちに紛失したものとわかって、さあ大変。

 捜査本部も、「1:同課内に外部の人間が出入りした形跡が全くない。2:トランクを地下金庫へ収納する直前、同課に誰もいない15分間の“空白の時間”があった」ことから内部犯行と断定し、行内は今日に至るまで疑心暗鬼の目、また目。

次ページ:「犯人は絶対内部」とウワサ

前へ 1 2 3 次へ

[2/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。