サブスク全盛の時代になぜ「まんだらけ」は“DVDやVHSの売り場”を維持し続けるのか…責任者が明かす「お客さんがわざわざDVDを買い求める」意外な理由とは
2020年以降のコロナ騒動を境に、アニメの視聴方法は劇的に変化した。かつてはDVDやブルーレイのような映像ソフトを購入するか、もしくはレンタルビデオ店で借りて視聴するのが定番であった。サブスクが普及した現在は、Netflixなどの動画配信サイトを通じて視聴するのが一般的になりつつある。
そうした視聴環境の変化が影響しているのだろう、アニメグッズを取り扱う小売店では新品・中古を問わず、DVDやブルーレイの取り扱いを縮小、もしくは取りやめる傾向が強まっている。ある仕事で絶版のアニメDVDを観る必要が生じ、筆者が秋葉原の中古ショップに出かけたところ、「DVD自体の取り扱いをやめました」と言われたので驚いた。
10年ほど前まで、映像ソフトは作品の人気を示すバロメーターであった。「『魔法少女まどか☆マギカ』のDVD売り上げが過去最多を更新!」といった具合に、ネットニュースを騒がせていた。アニメショップの店先には売上ランキングが掲示され、順位を競っていた時代があったと思うと、寂しいものがある。
一方で、そんなDVDやブルーレイに商機を見出す企業もある。古書店大手の「まんだらけ」は、秋葉原に2025年8月にオープンさせた「まんだらけCOMPLEX2」で、映像ソフト専門のフロアを設けている。店内には高額な商品がずらりと並び、同社はむしろ拡充路線を図っているように見える。【文・取材=山内貴範】
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サブスクで視聴できない作品も多い
サブスク全盛の中、映像ソフトはどんな人が買っていくのか。そして、「まんだらけ」が取り扱いをやめないのはなぜだろうか。「まんだらけ」スタッフで、映像ソフト全般の責任者である木村存志氏は、「マニア向けの品ぞろえを貫き、需要に応えたいという思いがあるため」と話す。
「当社が創業以来大事にしてきたコレクターやマニアのみなさんが、コレクションの対象にするのは、DVDやブルーレイなどのいわゆる現行商品はもちろん、LD(レーザーディスク)やVHSなど過去の映像ソフトにも及びます。ふとしたタイミングで欲しがる方も多く、多岐にわたる映像ソフトを常にそろえておくことが使命だと思っています」
マニアがあえて過去の映像ソフトを買い求める理由として、「サブスクでは視聴できないけれどDVD化されている作品」が珍しくないことが挙げられる。木村氏がこう話す。
「西崎義展さんが『宇宙戦艦ヤマト』の後に制作したアニメ『宇宙空母ブルーノア』は、サブスクでは簡単に見られません。とはいえ、このアニメはまだDVDになっているので視聴しやすいほうです。サブスクで配信されていないうえ、DVD化もされておらず、視聴するにはLDやVHSを入手するしかないアニメはたくさんあります。そういったソフトはプレミアがつきやすいですし、当社がもっとも力を入れている分野です」
こうした現象はあらゆる中古市場で見られる。例えば、手塚治虫作品に多いが、作者の意向で単行本に収録されていない話が掲載された雑誌は、数万円のプレミアがつく。復刻版が刊行されておらず、そこでしか読むことができない作品を収録した単行本は“ヴィンテージコミック”となり、探しているファンが多いことからプレミアがついている。
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