住所、顔写真、家族の個人情報まで拡散され…「栃木」「大分」生徒暴行問題で「ネットの怒り」はなぜ暴走するのか

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一流企業の部長クラスも

「そうしたアカウントは『こんなひどいことがありました。懲らしめてやってください』という声が集まる目安箱のような働きをします。そして、フォロワーがそれを拡散することは良いこととして賞賛されるわけです。ただし、迂闊な拡散は気をつけるべきです。YouTuberも暴露系のSNSアカウントも法律の専門家ではありませんし、流した情報が真実であるとも限らない。偽情報の拡散に手を貸せば、冤罪を導くことにもなりかねません」(井上氏)

 NHK党の党首・立花孝志被告が虚偽発言によって他者の名誉を傷つけたとして逮捕されたのは昨年11月のことだ。彼の発言を鵜呑みにし、亡くなった元兵庫県議の自宅に脅迫電話をかけた者も実際にいる。どのような人が安易な情報に乗ってしまうのだろう。

「拡散に走ってしまうのはオタクばかりではありません。意外にも普通の人が多く、主婦や定年退職したばかりの女性も少なくありません。また、一流大学を出た上場企業の部長クラスなんて人もいる。30代半ばくらいまでネットがなかった世代に多いようです。彼らは『これは許せない』と思うと脊髄反射で反応してしまうことがあります。確かな情報が少ない中、特定犯としてネットで拡散されると、その情報に乗ってしまいがちです」(井上氏)

 こうした風潮は今後も続いていくのだろうか。

「最近、変わってきたなと思うのは“マスゴミ”批判の風潮です。マスコミは偏ったいい加減なことばかり報じるということでマスゴミと言われてきましたが、最近はきちんと取材して報じているという声も上がるようになってきました。当たり前のことですが、理解が進んできた印象があります。一方、痛い目を見るネットユーザーが出てきたことで、ネット情報に対するリテラシーも高まってきた。誤情報やフェイクニュース、AI……今は情報需要のあり方が変容していく過渡期なのかもしれません」(井上氏)

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