批判の集中砲火を浴びても“彼女たち”が市長の座にこだわる理由とは…「田久保眞紀氏」「小川晶氏」と高市首相との“決定的な違い”
長刀で戦う武士の妻
碓井教授に改めて取材を依頼すると、「実は女性リーダーの場合であっても、男性リーダーと同じ“伝統的な出処進退の美学”が存在すると思います」と言う。
「それは“武士の妻”が体現した理想像です。一旦、戦乱が起きれば、武士の夫は妻や子供を安全な場所に避難させようとします。しかし妻はそれを拒否し、自ら長刀を手に取って敵と戦う。その結果、夫と共に討死して果てれば、日本人は『武士の妻らしい美しい最期』と高く評価しました。つまり日本の伝統的な価値観では、武家という支配階級に属している限り、男性だろうと女性だろうと“潔い出処進退”を尊んできたと言えます」
もし田久保氏や小川氏が即座に非を認めて謝罪し、潔く市長を辞職したら世論の受け止めは変わっただろうか?
出直し市長選の出馬も見送る。まずは支持者を中心に“お詫び行脚”を丁寧に行う。そして次の市議選や市長選でリベンジを果たすため立候補する──というやり方だ。
「ただし、少なくとも今の日本社会で女性リーダーは“改革”の断行を求められるケースが多く、それが田久保さんや小川さんの決断に影響を与えた可能性はあると思います。日本では依然として男性リーダーが圧倒的多数を占めています。その男性リーダーに対する不満の声が高まると、女性リーダーの待望論が浮上するという現実は否定できません」(同・碓井教授)
「改革」が期待される女性リーダー
「前回の伊東市長選と前橋市長選を振り返ると、有権者が変革や改革を求めていたことが分かります。そうした期待の声を背負って二人の女性市長が誕生し、市政の舵取り役を担ってきました。そこに学歴詐称やホテル密会の問題が浮上したわけです。ここで潔く辞任して市長の座を他人に譲ってしまうと、改革の道半ばで市政を放り投げた、無責任な政治家だと批判されるのではないか、との危惧を田久保さんも小川さんも抱いていた印象があるのです」(同・碓井教授)
現在の日本で、最も高い支持を得ている女性リーダーと言えば、高市早苗首相(64)であることは論を俟たない。内閣支持率は常に60%を超える。
碓井教授は「高市さんの人気は、“強さ”と“優しさ”のバランスで読み解けるかもしれません」と言う。
「近年、『強さだけがセールスポイントのリーダー』や『優しい気配りだけがセールスポイントのリーダー』では、広範な人々の支持は得られないことが分かっています。特に女性リーダーの場合は『男勝りの強さ』だけを前面に出すと、かえって評価は下がります。強さと優しさのバランスが最初に注目された政治家として、イギリスの首相だったマーガレット・サッチャーさんが挙げられるでしょう」
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