声優のファン同士が“フラスタ”の豪華さを競う狂騒状態に…アニメの原作を手がけた漫画家に、フラスタ用のイラストを依頼する驚きの行動も

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 アイドルや声優、バンドなどの推し活の定番アイテムになっている“フラワースタンド”(以下、フラスタ)。かつては出演者の仕事相手となる関係者が贈るのが基本であり、“祝い花”などと呼ばれていたが、いつしかファンも贈るようになり、SNSの普及とともに次第にファンの間で豪華さを競うようになり出した。

 こうした文化自体は魅力的なものだが、一方でフラスタにまつわるトラブルがファンの間でも絶えないそうだ。取材を進めると、花を巡ってファン同士でも様々なトラブルが巻き起こっていたり、アニメ・声優関連のライブにおいては、原作者の漫画家を巻き込んだトラブルに発展している事例もあるようだ。

 なかには、アイドルを応援するという本来の趣旨から外れ、フラスタの豪華さを競うことで自身の財力や影響力を示そうとする人もいるという。推し活とフラスタを取り巻く現状を取材した。【文・取材=宮原多可志】(全2回のうち第2回)

ファンの承認欲求が満たされるフラスタ

 会場にずらりとフラスタが並ぶ光景はアイドルのコンサートの名物になりつつあるが、そもそも、なぜフラスタの文化がここまで盛んになったのだろうか。それは、贈られたアイドルがSNSに「すご~い!」「いっぱいありがとう!」「みんなの愛、感じたよ!」といったコメントとともに、フラスタの写真を掲載することも影響しているだろう。

 ファンにとって、こうしたコメントはたまらない。自身を“推し”に認知してもらえていると感じられるからだ。SNSで繋がった同志たちとお金を出し合い、ライブのたびにフラスタを贈っているという声優アイドルのファンがこう話す。

「僕が好きな声優さんは、ライブの後に必ずフラスタの前で写真を撮ってくれます。僕の名前が書かれた立て札と、推している声優さんの顔が同じ画像に写っている。もう、たまりませんよ。こんなに幸せな気持ちになるんだから、フラスタは本当に素敵だし、これからも仲間たちと一緒に贈りたいと思っています」

「なぜ、自分たちの花の前で撮影してくれなかったのか」

 純粋な思い自体は健全といえるが、やはり何事も行き過ぎると問題につながってしまう。なかには、フラスタをめぐって、一部の過激なファンからアイドルの事務所に苦情が舞い込む例もあるという。ある大手芸能事務所の関係者がこう話す。

「フラスタを贈ってくださるファンのグループがいくつもあるのですが、『他のグループのフラスタの前では写真を撮ってくれたのに、自分たちの花の前では撮影してくれなかったのはなぜか』と。現在もフラスタの受け付けは行っています。しかし、こうしたトラブルが今後も続くようなら、受け入れ中止を検討せざるを得ません」

 ファンの数が増えると、同じアイドルを推すファンに横のつながりができて、コミュニティやサークルが生まれることは珍しくない。しかし、そんなサークル同士の関係が良好でないケースも見受けられる。アイドルによっては、ファン同士の軋轢を未然に防ぐ目的で、フラスタの受け付けを一切行わないケースもあるようだ。

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