“推し活”の定番となった「フラワースタンド」で“未払い”が頻発のウラ事情…生花店が明かす悪質な手口「実在する法人名で注文されて…」

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 ライブやコンサート、舞台公演などで、会場のロビーにお祝いの花がずらりと並んでいる光景を目にすることは珍しくないだろう。人気の歌手やアイドルだとその数も膨大になり、中には小林幸子の紅白歌合戦の衣装のように華やかなものも多く、壮観というほかない。実は、この“フラワースタンド”(以下、フラスタ)が“推し活”の定番アイテムになっているのである。

 フラスタはかつて、出演者の仕事相手である芸能関係者や関連企業が贈るのが基本で、“祝い花”などと呼ばれていた。筆者も職業柄、仕事をご一緒した芸能人宛に贈ったことがある。これがいつしか、一般のファンも贈るようになり、SNSの普及とともに次第にファンの間で豪華さを競うようになりだした。

 ファン有志一同でお金を出し合ってよりゴージャスなフラスタを贈る例もあり、重要な推し活文化の一つになっている。そうしたなか、フラスタを制作する生花店を悩ませる新たな問題が生じているという。生花店が何度催促してもフラスタの代金を払わないという事例が頻発しているのだという。なぜ、そんな問題行動が増えているのか。取材を進めると、想像以上に“悪質な手口”が見えてきた。【文・取材=宮原多可志】(全2回のうち第1回)

被害は11件、約50万円に

 今回、匿名で取材に応じたのは都内の生花店A店である。昨年からの被害件数は11件にのぼり、被害総額は実に50万円ほどに達するという。店主曰く、「現状、代金は1円も回収できていない」そうだ。フラスタの注文は主にネット経由で受け付けており、1つとして同じものはない特注品だ。注文サイトでも事前決済が基本のはずだが、なぜ、代金を回収できないのだろうか。

「相手が法人名を名乗って注文しているからです。個人の方は先払いやカード決済ですが、法人に関しては請求書払いに対応していたため、相手はそこを巧妙に突いてきました。しかも、実在する法人の名前を騙っていた。もちろん、その会社は実際には一切無関係で、告げられた会社の所在地住所も全くのウソで、調べてみると更地でした。

 うちの店が被害に遭った11件はすべて同じ注文主Bです。途中で何度もメールで催促しましたが、『経理に請求書を回すのが遅れたので、支払いが後になってしまいます』『もし、ご迷惑をおかけしているようであれば、半額でも先に入金します』というやりとりがありました。しかし、結局のところ半額も支払われていません」

 そもそも、アイドルにファンの連名でフラスタを贈る際、法人名義で支払う必要などあるのだろうか。出版社や企業が祝い花を贈るのとは、訳が違う。

「確かに、札に法人の名前が載らないなんて、今考えればおかしいと思います。しかしながら、ファン代表がたまたま法人名義で注文してくる事例もあるのかな、と思って引き受けてきました。それに、フラスタに使う特注の札を制作し、印刷所から直接送ってきたので、しっかりした人だという印象もありましたからね」

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