不倫を経て「3度目の本気の恋」継続中…60歳夫が妻の振る舞いで“透明人間”になったワケ

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妻の“告白”に「透明人間のよう」

 母をどう評価したらいいかわからないことに、彼は胸がつまるような苦しさを感じているのかもしれない。その母は90歳間近となった今も、実家で夫と暮らしている。

「自分が家庭をもってみて、父親の役割ってたいしたものじゃないなとは思いました。僕は娘を溺愛していたけど、娘は中学生になるころには親などいなくても育ったような顔をしていたし。高校から留学したいと言われたときはひっくり返りそうになりましたけどね」

 裕美子さんと娘はずいぶん前からそういう話をしていたらしい。寛一さんが知ったときは、すでに留学は決定事項になっていた。

「もっと前から相談してほしかったと言ったら、裕美子が『よけいな心配させたくなかったのよ。私は留学していたから事情もよくわかってる。任せて』って。僕の存在はそこにはなかった……」

 娘が留学するときは一緒にその国まで行ったが、寮に入った娘を見届けると彼は帰国した。裕美子さんは数日滞在して様子を見ることになり残った。

「海外からひとりで飛行機に乗ったとき、言いようのない寂しさに包まれました。人生、間違えたかもしれないというような」

 留学費用についても、裕美子さんからはまったく相談を受けていなかった。あとから聞くと「父の遺産が入ったから、それを娘に使うことにした」と返ってきた。たとえ夫といっても妻の親の遺産について何か言える立場ではないが、通夜や葬式の際、寛一さんは妻のためにかなり働いた。親戚からも慰労の言葉をもらったくらいだ。せめて遺産について報告のひとつくらいしてくれてもいいのにと感じたという。自分の存在が透明人間のようだった。

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 寛一さんが今、体験しているという3度目の「本気の恋」。その1度目の相手である裕美子さんとの関係に、陰りが差し始めたようだ。【記事後編】では、2度目、そして3度目の相手との「恋」が語られる。

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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