捨てるなんてもったいない? 咳が気になる季節に「みかんの皮」 台湾在住料理家が教える意外な活用術とは

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みかんの皮は乾かせば代用できるのか

 取材を進める中で、ふと疑問が浮かんだ。漢方の規格基準書である中薬典によると、陳皮の原料は「橘(Citrus reticulata)」、「温州みかん(Citrus Unshiu)」。──であれば、普段食べているみかんの皮を乾かすだけでいいのではないか。

 しかし、答えは否だ。

「そのまま乾かしただけでは、陳皮とはいえません。陳皮とは、乾かした皮を三年以上熟成させたものを指します。三年未満のものは、ただのみかんの皮にすぎません」

 残念。今朝、息子の机の上でみつけたカラカラのみかんの皮も、陳皮としては使えない。とはいえ、この状態からさらに三年保存する気にもなれない。すると黄院長は、家庭でも短時間で“陳皮に近づける方法”があると教えてくれた。

なぜ“3年熟成”が必要なのか

 具体的な方法を紹介する前に、そもそもなぜ三年も熟成させる必要があるのかを押さえておきたい。黄院長によれば、熟成の目的は「皮に含まれる成分の変化を待つこと」。

 時間をかけて乾燥・熟成が進むと、

●揮発油(エッセンシャルオイル)が自然に減る
●相対的にフラボノイドが増える

 といった変化が起こる。このバランスの変化こそが、陳皮が薬材として働くための土台になるという。

家庭でできる“陳皮づくりの近道”

 三年熟成とはいかないが、家庭でも成分変化に“寄せる”ための方法がある。黄院長がすすめるのは、加熱しながらゆっくり乾燥させるやり方だ。

 オーブンを最も低い温度に設定し、みかんの皮を入れたら、30分ごとに様子を見ながらドライフルーツくらいまで乾燥させる。これは揮発油を適度に飛ばし、フラボノイドのバランスを陳皮に近づけるための工夫だという。

 十分に乾燥したら密閉容器に入れ、時々日光に当てておくと状態を保ちやすい。カビが出たら必ず捨てること。皮を扱う以上、農薬の心配がないみかんを選ぶことも重要だ。

煮出すだけの“陳皮水”

 こうして完成した簡易陳皮は、陳皮水として取り入れることができる。家庭でも実践しやすい方法だ。

【材料】
簡易陳皮……20グラム
水……500ミリリットル

【作り方】
鍋に簡易陳皮水を入れて火にかけ、沸騰したら弱火で5~10分煮出す。長く煮ると苦味が強くなるため注意したい。

 煮出した液体は300ミリリットル前後になり、これを一日数回に分けて飲む。咳だけでなく、胃の張りが気になるときにも用いられるという。

【注意したいポイント】
 注意しておきたい点もある。黄院長によると、陳皮は比較的安全性の高い薬材とされているものの、例外があるという。

「抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)を服用している方は避けてください。併用すると出血のリスクが高まる可能性があります」

 また、咳が長期間続く場合や、息苦しさ・発熱を伴う場合は、早めに医療機関を受診する必要がある。

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