「ビール1杯2000円」は当たり前…裕福な社長ですら「ヨーロッパ旅行にはもう二度と行けないよ……」と肩を落とす衝撃の物価高

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1997年は缶ビールが12本で4.98ドル

 そして、ここからが海外在住日本人実業家の強みなのだが、日本国内にも顧客がいるため、日本には頻繁に帰ってくる。そのため、賃貸の物件を借りておいて、数週間の「激安生活」をするのである。当然ポンド・EU建てで円に換えるわけだから、欧米からの観光客同様「安い日本」を楽しむことができる。その間はヨーロッパの高い物価からは解放される。

 そうした、2拠点生活を送る友人を持つ冒頭の社長・Aさんだが、彼をもってしても、ヨーロッパの物価高には「もう行けないよね……」と嘆くしかなかった。それと同時に、円高の時に海外に打って出ることを決めた友人の慧眼に今さらながら感服したという。

 私からしても、この時期にヨーロッパ旅行へ行けるAさんはかなり豪気な人物だとは思う。何しろ私も毎年海外旅行へ行くとはいえ、2017年のイタリア旅行以来、欧米になど行ったことは一度もない。17年以降に足を運んだのは香港・タイ・ベトナム・カンボジア・ラオスだけである。これらの国・地域であれば、円安とはいえ、そもそもの物価が安いため、なんとか海外旅行は楽しめる。まぁ、それでも日本の物価との価格差は狭まっているし、観光客向けのサービスや店であれば日本より高価なことも多い。

 1997年初頭、1ドル=80円だった頃、23歳だった私はアメリカのフィラデルフィアへ旅行に行った。友人がペンシルベニア大学に留学していて、寮の部屋に泊めてくれるというので。そこで、アメリカの物価の安さに仰天したのである。何しろ、バドワイザーやクアーズといった缶ビールが12本で4.98ドルだった! 1本33円である。また、チェーン店ではない店でハンバーガーを食べても400円ほどである。

 ところが、最近アメリカ旅行をした人の話を聞くと、ビールは12本15ドルほどになっていて、日本円で1920円である。日本の6缶パック2つよりは安いものの、1997年に日本ではビールが1本200円であったことを考えると随分と高くなった。しかも、飲食店でビールを頼むと12ドルはかかり、食事をすると1万円にすぐ到達するし、さらにチップを20%支払わなくてはいけない。

 旅行という贅沢をする機会であるにもかかわらず、経済成長に合わせて着実に賃金と物価を上昇させた欧米諸国に後れを取った成長しない国の我々は、円安と相まって旅先で節約せざるを得なくなったのである。それはAさんという裕福な部類に入る人であっても、だ。

ネットニュース編集者・中川淳一郎

デイリー新潮編集部

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