暗い表情を見せたダイアナ妃、ゲリラ事件が続発… 平成「即位の礼」の舞台裏
ダイアナ妃の暗い表情
ところで、外国参列者の中で最も注目されたのは英国のチャールズ皇太子夫妻、特にダイアナ妃であったことは間違いないだろう。9年前に結婚し、当時ダイアナ妃は29歳。夫妻として2回目の来日で、11月10日から14日まで滞在する間に、筆者は間近で夫妻の様子を取材する機会があった。
離日直前の14日夕、都心のホテルで開かれた日英協会の夫妻歓迎レセプションでのことだ。日英の約1000人の会員が詰めかけた会場を夫妻は回ったが、ダイアナ妃が進行コースに並んだ人と順番に話していくのに対し、皇太子はどんどん進んでいって、夫妻の距離はかなり離れていた。
夫妻で効率よく手分けして会員らと懇親を続けているのかと思っていたら、ダイアナ妃が時々、夫の方をちらっと見て、少し暗い表情に変わるのが気になった。皇太子の方は若い女性グループなどを見つけると、遠くまで手を伸ばして握手し盛り上がっていることが多かった。これがチャールズ皇太子流の懇親スタイルなのだろうと思った。ダイアナ妃の表情から勝手に推察すると、「夫がまたいつもの調子なの」などとあきれていたのかもしれない。
日本の皇族夫妻はこういう場では、二人がわりと近い距離にいて呼吸を合わせて行動することが多いので、それに見慣れていた筆者には軽いカルチャーショックだった。当時はチャールズ夫妻の不仲はさほど表面化していなかったし、離婚など全く想像できなかった。
だが、二人はこの2年後に別居して、その後に離婚、悲劇が起きた。私が瞬間的に気になったダイアナ妃の暗い表情が、離婚の前兆ではなかったと思いたい。
参列した外国要人は即位の礼をどう見たか
話を即位の礼に戻そう。参列した外国要人が即位の礼をどう見たかについて、外務省が発表したが、おおむね好評だった。その一部を紹介すると、ブータンのワンチュク国王は、
「古式ゆかしい中に伝統ある儀式の再現は、アジアの誇り。経済的に最も発展したこの国で、古い時代の儀式が保存されていることは驚きである」
ドイツのワイツゼッカー大統領も、
「大変整然と行われ、感銘を受けた。ここまできちんとできるのは日本のみ。日本の外務省はすばらしい天気を用意してくれたものだ」
また、外国人記者のこんな感想が新聞に載っていた。中国の新華社通信特派員によれば、
「こういう儀式は、中国では革命後なくなっているので、珍しいものだった。中国の唐代の儀式と似ているように思う。日中関係は現在、友好的に進んでいるが、ただ一つ、『天皇陛下万歳』が少し気になった」(11月13日の読売新聞朝刊)
国の儀式としての即位の礼は、大きな問題が生じることもなく、一連の儀式を同15日で終えた。しかし、さらに違憲性が高いと指摘される皇室祭祀(さいし)の大嘗祭(だいじょうさい)が、あと1週間後に迫っていたのである。
前編【万歳三唱を巡って保守派と護憲派が対立… 平成の「即位の礼」の舞台裏】では、万歳三唱を巡る、保守派と護憲派の激しい対立について報じている。
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