漂う異臭、重箱の底が見えるほど少量、市販の扇型チーズが1個…正月を別の意味で盛り上げた「スカスカおせち」騒動とは
鳴らなくなった除夜の鐘、勢いを失った紅白、惰性となった年賀状……かつての定番が衰退するとともに、毎年薄まっていく正月感。“重箱に詰められたおせち”も消えつつあるが、正月気分をグッと盛り上げる見た目であることは間違いない。
そんな盛り上げ役のおせちが、一転して悲しみの源となる騒動が発生した。2010年の大晦日から年を跨いで激しく炎上した「スカスカおせち」である。商品見本と実物が大きく異なるトラブル自体はさほど珍しくないが、共同購入型クーポンサイトを介して販売されたこのおせちは誰が見ても度を越していた。
4人前なのに隙間が目立つスカスカ、不思議な色をした各種の肉、薄い生ハム2枚に添えられた市販の扇型チーズ1個、なんとなく漂ってくる異臭――明らかにすべてが“間に合っていない”やっつけおせち。「週刊新潮」のバックナンバーでその顛末を振り返ってみよう。
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「家族4人、どんより」
(以下、「週刊新潮」2011年1月13日号掲載記事を再編集しました)
元日。ちゃぶ台の上にお節の重箱があると、それだけで正月気分がいや増す。蓋を開ければ顔もほころび、お屠蘇をあおって穏やかに新年が始まるのだが、今年は蓋を開けて「なにこれ?」と悲嘆にくれた家庭がちらほらとあったようだ。
きっかけは大晦日に書き込まれた、インターネットグルメサイトのクチコミ。指定した配送時間よりも早く届いた、お取り寄せのお節を見てびっくりした人物が、こう書いたのである。
「内容はスッカスカ」
「まるで叩き付けたように盛りつけたような、雑な盛りつけ」
「これで……一万円なの?」
「家族4人、どんより」
丁寧に写真まで掲載したこの“口コミ”が、ネット上でさらなる実態を次々と誘発した。曰く、見本と違う、元日になっても届かない、食品なのにクール便ではなく通常便で配送された、異臭がする等々……。
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