“2分差なら射程圏内”と語る「山の名探偵」に“インカレ2冠”の主将…早稲田大学は15年ぶりに「箱根」を制すか? 名門の戦力を徹底分析

スポーツ

  • ブックマーク

2分差なら山登りで逆転できる

 メガネをかけて箱根の山を走る姿や、アニメ『名探偵コナン』の主人公・工藤新一と名前が似ていることから“山の名探偵”として親しまれる工藤慎作は、過去2回はいずれも5区を任され、1年生では区間6位。「走力も足らず、コースもしんどかった」というレースの反省を生かした前回大会は、69分31秒で激走し、チームを往路3位に導いた。

「僕は箱根駅伝だけでキャリアを終えるのではなく、『将来はフルマラソンで活躍したい』と思っています。そのためには(体内に酸素を取り込み、エネルギーを作る)有酸素能力が必要不可欠なので、特別な練習をするのではなく、平地を走るマラソンの延長として山に挑んでいくようなイメージを描いています」

 2月の日本学生ハーフマラソン選手権大会(香川県)では、日本歴代4位の60分06秒で優勝。全日本大学駅伝では、8区で先輩の渡辺康幸が叩き出した日本人最高記録を30年ぶりに更新(56分54秒)するなど、実力を伸ばしてきた。

「将来を見据えたトレーニングに取り組んでいるという点で、僕は山登りを任されることに前向きですし、適性もあると思う。自分らしい走りをすることが大前提ですが、記録を塗り替えるのも不可能ではないでしょうし、2分差くらいなら逆転の射程圏内なのかなと思っています」

感動を届けられるような走りを

「箱根駅伝はものすごく大きなコンテンツですから、そこで自分が感動を届ける側になったからには、活躍したいなという思いはある。5区で他校のランナーを追い抜き、新たなレース展開を作りだしていく走りを見てもらえたら嬉しいです」

 個性的な表現で抱負を語る工藤の激走で往路を終えた早稲田大学は、3日の復路・山下りを山﨑一吹(やまざき・いぶき/3年)に託すことになりそうだ。

 昨年も同区間を任された山﨑は区間5位(58分45秒)の走りを見せるも、順位を1つ落とし、チームは4位でレースを終えた。

「個人としては目標のタイムをクリアし、想定内のレースでしたが、順位を一つ下げてしまったことは、結果としてチームのマイナスになってしまった。独特なコースなので、過去に走った経験は大きなアドバンテージになると思っています」と山﨑は雪辱を誓うが、大会後に想像を超える苦しい時期を乗り越えての今がある。

次ページ:凄まじいダメージを受ける山下り

前へ 1 2 3 次へ

[2/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。