「違法性を問うと“維新の議員もたくさんいるから大丈夫”と…」 維新の「国保逃れ」問題、セコ過ぎるスキームとは
【全2回(前編/後編)の前編】
連立与党入りからまだ2カ月ほどだというのに、政治とカネの問題に事欠かない日本維新の会。新たに「保険料」をごまかしている議員がいたとの疑惑が持ち上がり、吉村洋文代表(50)が頭を悩ませている。「身を切る改革」にそぐわない、その卑劣な手口とは。
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給与明細を確認したとき、天引きされている「社会保険料」の額に嘆息する向きは少なくないだろう。深刻な少子高齢化に直面する日本では、現役世代の負担は膨らむ一方だ。
例えば年収600万円、月収換算で50万円の会社員の場合、加入する健康保険組合や地域によるが、おおむね月7~8万円を健康保険料や厚生年金保険料として支払うことになる。
ただでさえ物価が高いのに勘弁してくれ――巷に溢れる声は大きく、自民党との連立を組んだ日本維新の会は「社会保険料を下げる改革」を強く押し出している。
その看板政策に疑問符が付くような質問が、12月10日、維新のお膝元の大阪府議会でなされた。
政治部記者が語る。
「ある一般社団法人において、国民健康保険の加入者である個人事業主などを理事に招き、社会保険に切り替えるという手法が横行しているとの指摘がありました。質問した自民党の占部走馬(うらべそうま)府議によれば、この法人からは最低限の報酬しか払われないため、理事になるとそれに対応する低額の社会保険料の支払いで済む。本来なら高額の国保料を支払うはずの維新の地方議員も、この法人の理事に名を連ねているというのです。占部府議はこうした不当に保険料を低く抑える“脱法的”なスキームの規制を吉村知事に求めました」
自身のSNSなどでは社会保障制度改革についてとうとうと解説している吉村代表だが、身内に関るこの指摘には「不正であれば許されるものではない」と述べるので精いっぱいだった。
「違法性を問うと“維新の議員もたくさんいるから大丈夫”」
占部府議本人が、質問の経緯について語る。
「フリーランス業の知人から相談を受けたのは、今年の夏ごろです。彼がビジネスマンの集う会合に参加した際、この法人の人物に営業をかけられた。いわく“高い国保料を払うなら、ウチの理事になって、社保に入らないか”という誘いだったそうです。違法性を問うと“維新の議員もたくさんいるから大丈夫”と言われ、不審に思い私に話を持ち込まれた」
勧誘の際に使われたという資料は「コスト削減の提案」と題されたもので、社保加入者になるメリットが詳細に記されている。「皆様の社会保険料負担額を最低水準に落とすことが可能」とされ、例えば年収1000万円超の弁護士であれば約86万円、年収500万円の配送業者であれば約71万円、それぞれ保険料を抑えられると試算まで示しているのだ。提案に魅せられてしまった人は多いらしく、件の法人の登記簿では、600名以上もの理事が確認できる。
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