「非核三原則を見直すべき」 前首相補佐官が提言… 元陸上幕僚長も「中国の核弾頭数が1500発に達する」「核の議論を行わずわが国を守れるのか」

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「メディアが騒ぎ立てることは、国益上マイナス」

 この点、元空将で麗澤大学特別教授の織田邦男氏が語るのは、以下のような現実である。

「12月4日に公表された米国の『国家安全保障戦略2025』では、自国利益を最優先する『米国第一主義』が前面に打ち出されました。自由主義社会の盟主たる面影は失せ、トランプ大統領の口癖である“同盟国が米国の安全保障にただ乗りしてきた”との批判が色濃く反映されています。過去20年以上、米国の安保戦略文書が一貫して主張してきた“朝鮮半島非核化”も抜け落ちています」

 続けてこう指摘する。

「米国の核の傘はほころびかけています。今こそ、核議論をやらなきゃいけない。念仏のように非核三原則を唱えるだけで、本当に国民を守ることができるのか。この問いは非常に重要です。今回、朝日をはじめとするメディアは“核保有”に触れただけで問題があるかのように報じていますが、これでは冷静な核の議論などとてもできない。しかも、メディアが騒ぎ立てることで中国には付け入る隙を与え、米国は不信感を持つわけです。国益上、マイナスしかありません」(同)

「非核三原則の見直しを提言した際、朝日は一行も報じなかった」

 A氏と共に6月の核政策に関する提言を行った、兼原信克元内閣官房副長官補も次のように言う。

「われわれが彼と非核三原則の見直しを提言した際、朝日は一行も報じなかった。それにもかかわらず、今回になってオフレコでの“核保有発言”を大きく取り上げたのは、彼が高市政権の幹部という立場にあるからでしょう。野党は反射的に罷免を要求していますが、報道は結果的に政局の材料を提供したに過ぎない。社会の公器である新聞がなすべきは、個々の発言を切り取って騒ぐことではなく、日本の核戦略はいかにあるべきかを正面から論じ、国民的議論を喚起することではないでしょうか」

 政治部デスクが述べる。

「発言が臨時国会閉幕の翌日でA氏は命拾いしたといえます。とはいえ、来年の通常国会の安全保障委員会などで、問題が追求される可能性はあります」

 もっとも、高市早苗首相(64)が新年から抱える問題はこれだけではない。

「高市首相と鈴木俊一幹事長(72)の関係に隙間風が吹いています。鈴木幹事長は、結局のところ麻生太郎副総裁(85)の“名代”に過ぎず、高市首相は周囲に“最弱の幹事長だ”と漏らしています。党とのパイプは萩生田光一幹事長代行(62)に頼らざる得ない状況です。また首相は最近、今井尚哉内閣官房参与(67)と対中政策を巡って官邸内で激しく言い合いになった、とも聞いています」(政府関係者)

 前編では、オフレコだったはずの「核保有発言」を朝日新聞が真っ先に報じたウラ事情について報じている。

週刊新潮 2026年1月1・8日号掲載

特集「高市首相側近 オフレコ『核保有』発言はそんなに問題か」より

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