刑務所で改心し奇跡のカムバック、試合中にキレて騒動、ウッズの行く末…2025年のゴルフ界「話題になった選手」たち

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FCCとPGAツアーのスリム化

 ローラップCEOは、FCCを率いるチェアマンにウッズを指名し、ウッズもそれを承諾した。そして、「こういうリーダーを待っていたんだ」とローラップCEOを高く評価したウッズは、FCCの設立目的や自身に課されたチェアマンの役割に、強い意欲を見せている。

「FCCは、ファンのために、できる限り良いゴルフの戦いを披露することを目指している。それが実現されれば、将来的にはプレーヤーにも利益がもたらされ、ツアーに関係するみんなに恩恵がもたらされる。すばらしいことだ」

 折しも、PGAツアーは少数精鋭化、スリム化を推進中だ。2026年はシード選手がこれまでの125名から100名に減り、各大会の出場人数も、これまで156名だった大会は144名へ、144名だった大会は132名に絞られて実施される初めてのシーズンとなる。

 2027年以降に関しては、まだ正式な発表は何もなされていない状況だ。だが、ツアーの内部事情に通じているベテラン選手のハリス・イングリッシュは、そうしたスリム化の延長線上の施策として「2027年からのPGAツアーは年間20試合前後に減る」「シグネチャー・イベントは撤廃され、全試合が同列になる」と明かし、ゴルフ界を仰天させた。

 イングリッシュ発言を受けて、米メディアは2027年からはハワイでの2大会が無くなり、西海岸シリーズの大会も大半が無くなると予想している。

ウッズが目指す「より良いPGAツアー」

 FCCチェアマンのウッズは、イングリッシュ発言に対しても、米メディアの予想に対しても、肯定も否定もしていない。だが、「われわれのプロダクト(=PGAツアー)をより良いものにしていく必要がある」と語り、「今はリハビリより、FCCに取り組んでいる」と言い切った。

 PGAツアーは米コンソーシアムのSSG(ストラテジック・スポーツ・グループ)とパートナーシップを締結し、最大30億ドルの投資を得て、営利法人のPGAツアー・エンタープライズを設立した。

 そのため、PGAツアーにも効率アップが求められ、ローラップ新CEOの舵取りの下で打ち出されたのが、シード選手の人数を減らし、試合出場人数も減らしてフィールドを縮小するといった2026年から実施される少数精鋭化の施策である。

 こうした流れを鑑みると、イングリッシュ発言は「きっとそうなる」という内容なのだろうと思えてくる。

 ウッズが目指す「より良いPGAツアー」は、果たしてどんなツアーになるのか。2027年からPGAツアーが大きく様変わりすることは、ほぼ確実と言っていい。2026年は、そのための過渡期として、重要な役割を担う1年になりそうである。

舩越園子(ふなこし・そのこ)
ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学客員教授。東京都出身。早稲田大学政治経済学部経済学科卒。1993年に渡米し、在米ゴルフジャーナリストとして25年間、現地で取材を続けてきた。2019年から拠点を日本へ移し、執筆活動のほか、講演やTV・ラジオにも活躍の場を広げている。『王者たちの素顔』(実業之日本社)、『ゴルフの森』(楓書店)、『才能は有限努力は無限 松山英樹の朴訥力』(東邦出版)など著書訳書多数。1995年以来のタイガー・ウッズ取材の集大成となる最新刊『TIGER WORDS タイガー・ウッズ 復活の言霊』(徳間書店)が好評発売中。

デイリー新潮編集部

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