刑務所で改心し奇跡のカムバック、試合中にキレて騒動、ウッズの行く末…2025年のゴルフ界「話題になった選手」たち
刑務所で変わった選手
2025年の世界のゴルフ界で、成績にかかわらず、「とにかく話題になった選手は誰か?」と問われたら、まず思い浮かぶのは、刑務所から出所して社会復帰し、すぐさまゴルフ界にも復帰したアルゼンチン出身の56歳、アンヘル・カブレラのカムバック劇だ。
1989年にプロ転向したカブレラは、2007年にPGAツアーにデビューした当時からパワフルでダイナミックなゴルフで世界中のゴルフファンを魅了した。2007年全米オープンを制して初優勝を挙げると、2009年マスターズでも勝利。瞬く間にメジャー2勝を達成した。
しかし、元パートナーだった複数の女性に対する恐喝や暴行等の嫌疑で逮捕され、ブラジルとアルゼンチンの刑務所入り。通算30カ月の刑期を終え、2023年8月に晴れて出所した。
服役中、模範囚となったカブレラは、15日ごとに社会に出て過ごす2時間の自由時間を与えられ、その間に交際を重ねた新しいパートナー女性との間に男の子を授かった。
「息子のために私はもっと強くならなければいけない」と心に誓ったカブレラは、同時に「再びマスターズに出場したい。オーガスタ・ナショナルの土の上でクラブを振りたい」と願い、出所するやいなや、代理人を通じてオーガスタ・ナショナルやPGAツアーなどに復帰を認めてくれるよう働きかけた。
改心したカブレラの、「新たに得た家族のためにもう一度頑張りたい」という願いは通じ、2025年4月には「元優勝者」資格でのマスターズ出場が叶った。結果は予選落ちだったが、自信を取り戻したカブレラはシニアのPGAツアー・チャンピオンズに挑み始め、メジャー大会の全米シニアプロを含む年間3勝を挙げて、完全復活。
驚きのカムバック劇に、米国のゴルフファンも目を見張り、温かい拍手を送っていた。
マナーやエチケットの悪化が問題に
2025年は、試合中に激怒してキレる選手が目立ち、マナーやエチケットの悪化が問題視された1年でもあった。
4月に悲願のマスターズ初制覇とキャリアグランドスラムを達成したローリー・マキロイは、翌5月の全米プロでドライバーのルール不適合判定を受け、バックアップのドライバーを使用していたことを米メディアに報じられた。それに激怒して取材拒否をし続けたことは、世界に向けて大きく報じられた。
マキロイは無言を通したものの、悪態をついたりはしなかった。だが、マキロイの親友であるシェーン・ローリーは、全米プロの際、フェアウエイを捉えたボールがディボット跡に転がり込み、そこからパンチアウト的に打ったボールが今度はバンカーに転がり込むと、手にしていたクラブを地面に叩きつけ、ディボットをさらに拡大して批判を浴びた。
3月のバルスパー選手権では、怒りを露わにしたパットン・キザイアがパターを、サヒース・ティーガラがアイアンを、どちらもブーメランのように放り投げ、その場に居合わせたギャラリーは思わず目を覆っていた。
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