“元ジャーナリスト”ならではの姿勢が根底に… 「クライマーズ・ハイ」原田眞人監督が娯楽映画に込めたメッセージ

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「日本人とは何だろう」

 映画の設計図として脚本は重要といつも語っていた。

「せりふのテンポにも工夫があった。早口で言葉の応酬になっても見る人はその場に居合わせているような臨場感を味わい、物語の流れに乗った心地よさを感じました」(安藤さん)

「日本のいちばん長い日」(15年)や「関ヶ原」(17年)では無念の思いを抱えて世を去った人に報いたい気持ちがあったという。

「日本人とは何だろうとのテーマが一貫していた。美化も非難もせず、言動を正面から受け止める素直さがあった」(垣井さん)

 12月8日、76歳で逝去。

 亡くなる5日前、病院を訪ねた役所さんに「また、やろう」と声をかけた。映画を作り続けてこそ監督と、次作に向け脚本も書いていた。映画好き少年の原点を生涯忘れなかった。

週刊新潮 2025年12月25日号掲載

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