「主役級」選手が実は「3人だけ」だった男子ゴルフ、そこに分け入った“努力と忍耐”の英国人選手とは 来季の日本男子は5人参戦【2026年展望】

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シェフラーは「まだまだ不満も残った1年」と

 シーズン終了後、2025年のプレーヤー・オブ・ザ・イヤーは「マキロイか? それともシェフラーか?」と注目されていたが、選手投票によって選ばれたのはシェフラーだった。

 フェデックスカップ・フォールの第1戦、プロコア選手権でも勝利したシェフラーは、2025年にメジャー2勝を含む年間6勝を挙げ、世界ランキング1位の座を堂々維持。

 プレーヤー・オブ・ザ・イヤーを受賞したことは、選手仲間たちから「2025年の誰よりも何よりも素晴らしい」という高い評価を得たことを意味していたが、本人は「まだまだ不満も残った1年だった」と謙虚に語った。

2026年のシェフラーは「貪欲なゴルフ」に?

 さて、ゴルフ界の2026年は、どんな1年になるのだろうか。シェフラー、マキロイ、スポーン、そしてフリートウッドのさらなる活躍が期待されていることは言うまでもない。

 だが、キャリアグランドスラムを達成したマキロイは、「これから達成することは、すべてボーナスだ」「僕にとって、PGAツアーやDPワールドツアーが意味するものが、減ってきた」と語っており、今後は成績や勝利に対するガツガツした姿勢が徐々に見られなくなるのかもしれないと思う。

 しかし、それが逆に功を奏して、マキロイの2026年が2025年以上に素晴らしい1年になる展開も考えられる。

 その意味では、2025年にメジャー2勝を挙げてキャリアグランドスラムに王手をかけたシェフラーの方が、まだ制覇していない全米オープンでの勝利を目指して、貪欲なゴルフを披露する可能性は大いにあると私は思う。

 折しも、PGAツアーの2026年は大きな転換期を迎え、大胆な少数精鋭化が実施される初めての年になる。フルシード選手は、すでに従来の125名から100名に減らされている。各大会の出場人数も、従来156名だった大会は144名へ、144名は132名へとフィールドが縮小される。

 こうしたスリム化が、プレーの進行や競技性、あるいはチケット収入、観客動員、テレビ視聴率などに関して、どんな効果効用をもたらすのかは、2026年の大きな注目ポイントとなる。

2026年、PGAツアーの日本男子勢は5人

 気になる日本勢は、2025年シーズンを終えてフルシード権を保持した松山英樹、久常涼、金谷拓実の3名に、下部ツアーのコーンフェリーツアーから昇格した平田憲聖、DPワールドツアーのポイントランクでトップ10入りして昇格した中島啓太が加わり、合計5名がフルシード選手として、PGAツアーの2026年シーズンに挑む。

 さらに、2025年12月のQスクール(予選会)で下部ツアーの出場資格を得た金子駆大、杉浦悠太、石川遼の3名が、2026年はコーンフェリーツアーに挑み、PGAツアーへの昇格を目指すことになる。

 PGAツアー自体はスリム化されていくものの、PGAツアーと下部ツアーに8名もの日本勢がチャレンジする2026年は、日本のゴルフファンにとって米国のゴルフがどんどん身近に感じられるようになるのではないか。

 そんな期待が膨らんでいる。

舩越園子(ふなこし・そのこ)
ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学客員教授。東京都出身。早稲田大学政治経済学部経済学科卒。1993年に渡米し、在米ゴルフジャーナリストとして25年間、現地で取材を続けてきた。2019年から拠点を日本へ移し、執筆活動のほか、講演やTV・ラジオにも活躍の場を広げている。『王者たちの素顔』(実業之日本社)、『ゴルフの森』(楓書店)、『才能は有限努力は無限 松山英樹の朴訥力』(東邦出版)など著書訳書多数。1995年以来のタイガー・ウッズ取材の集大成となる最新刊『TIGER WORDS タイガー・ウッズ 復活の言霊』(徳間書店)が好評発売中。

デイリー新潮編集部

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