大相撲「観戦マナー」悪化で「横審」がついに苦言 「絶対にNG」の野次 大目に見ても良い声援とは
2025年の大相撲界は話題尽くしの一年だった。初場所で横綱・照ノ富士が引退したものの、その後、豊昇龍、続いて大の里が横綱に昇進。10月には34年ぶりの海外公演となるロンドン場所が開催された。締めくくりの九州場所では、ウクライナ出身の安青錦が初優勝を遂げ、大関昇進を決めた。インバウンドの影響もあり、28年ぶりに1年90日間連続で満員御礼が続くなど、活況を呈した一年だった。
その九州場所後の横審の席で話題になったのが、その盛況と裏腹に、大相撲の観戦マナーが乱れているのではないかという指摘だ。具体的には、館内から野次や指笛などが聞こえたことを指しているという。あるべき観戦マナーとは何か。作家で、かつて相撲専門誌の記者を務めたこともある須藤靖貴氏が、「観戦マナーの乱れ」についての見方を綴った。
【須藤靖貴/作家】
***
【写真】「美人すぎる!」と話題 大の里の妹・葵さん、見れば見るほどそっくり! 豊昇龍と叔父・朝青龍の酷似写真、初土俵の頃は電車移動だった安青錦
アナが「ここはお静かに」
日本相撲協会の諮問機関、横綱審議委員会(横審)の定例会合が11月24日、東京・中央区で開かれた。大島理森委員長が会見。九州場所は観客の野次や指笛などが聞こえたことに「観客のマナーという点においても少し勉強しなくてはいけないというご意見があったことを報告します」と明かした。
九州場所の七日目。美ノ海・阿炎の前頭七枚目同士の一番。美ノ海が送り出しで勝った。
すると客席から指笛が響き渡った。Xには「指笛やめろ」「指笛は如何なものか?」「退出させろ」という困惑、批判の声が相次いだ。
さらに横綱・豊昇龍と玉鷲の一戦。その立ち合い、行司・式守伊之助の「待ったなし」の声で軍配が返った瞬間、男性の野次が館内に響いた。実況の藤井康生アナが「ここはお静かにお願いします」と苦言を呈した。
十把ひとからげにせず
ときおり取り沙汰される大相撲マナー問題である。
十把ひとからげにせず、分けて考えると良い。
まず指笛について。
勝った美ノ海は沖縄出身。指笛(しぶえ)は沖縄の伝統文化でもある。粋な祝砲と大目に見よう。目くじらを立てることもないだろう。
次に立ち合い時の野次。
これはダメ。絶対にNGだ。
私が現場にいたとしたら血圧急上昇で倒れていたかもしれない。そこのところ、横審は「観客のマナーという点において」などと曖昧な表現ではなく、明確な線引きをすべきだった。
[1/3ページ]



