「築地場外」で年の瀬の“観光ツアー”は「ご遠慮ください!」 インバウンドから大人気の一方で「食べ歩き客の持った串が子どもの顔に刺さる」トラブルも

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大混雑で食べ歩き、串が顔に刺さって流血も

 混雑する場外市場だけに、食べ歩きは要注意で、時にトラブルを引き起こす。場外市場関係者によれば、食べ歩き客が手に持っていた串が、「子供の顔や目の近くに刺さって流血させてしまったこともあった」という。他にも「食べ物や調味料が、すれ違った客の高級バッグにかかってトラブルになった」ことも。

 食べ歩きだけでなく、インバウンドをはじめとする「ツアー御一行様」が、鮮魚専門店の狭い店先にとどまって写真撮影することで、仕入れで訪れた職人の妨げになっているケースも少なくない。

 場外市場ではスリ被害も発生している。こうしたことから、「にぎわいの中にも一定のルールを」といった声は年々高まっていた。「食べ歩き」はこれまでも関係組織がNGを出し、所定の場所や併設された飲食スペースで行うよう注意を呼び掛けてきた。それも効果は芳しくなかったのだろうか、今回は苦肉の策として「観光目的での来訪は控えて」という要請になったのだ。
 
 小人数であれば、傍目には観光と買い出しか判断しづらいが、旗を頭上に掲げていなくても、インバウンドを大勢引き連れ、先導するガイドの姿は一目瞭然だ。そこでポスターには「ツアー・ガイド」と表記して、観光目的の来訪を控えてほしいというメッセージを発したのだ。

店での飲食はもちろんOK

 ただ、場外市場にとってツアーに参加するインバウンドの存在は大きい。海鮮だけでなく和牛や果物など、日本の食材はクオリティーが高いといわれており、円安なども手伝って高級食材が集まる場外市場の人気が高いのも事実だ。寿司店などにとっては、海外からの旅行者の来店は貴重な収入源でもある。
 
 場外市場の関係者で作るNPO法人「築地食のまちづくり協議会」の関係者は、「決して寿司などを食べにくる客を排除しようというわけではなく、買い出しにくる人を優先させてもらいたいだけ」と説明する。
 
 年末・年始のにぎわいが当たり前の築地場外市場。監視体制が整っていないため、十分な規制は敷くことができず、要請はお願いベースの話だ。従って、築地へ足を向ける際は、大人数でやって来るのではなく、できるだけ少人数でマナーを守って、築地を楽しむことをお薦めしたい。

川本大吾(かわもと・だいご)
時事通信社水産部長。1967年、東京生まれ。専修大学を卒業後、91年に時事通信社に入社。長年にわたって、水産部で旧築地市場、豊洲市場の取引を取材し続けている。著書に『ルポ ザ・築地』(時事通信社)。『美味しいサンマはなぜ消えたのか?』(文藝春秋)。最新刊に『国産の魚はどこへ消えたか?』(講談社+α新書)がある。

デイリー新潮編集部

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