「築地場外」で年の瀬の“観光ツアー”は「ご遠慮ください!」 インバウンドから大人気の一方で「食べ歩き客の持った串が子どもの顔に刺さる」トラブルも
年の瀬になると、上野の「アメ横」と並んで魚介類などを求める客でごった返す、東京・築地場外市場(中央区)。移転した豊洲市場(江東区)とは違って、歴史を感じさせるノスタルジックな街並みに、寿司店や鮮魚店、玉子焼き店、青果店など、400軒ほどの店が軒を連ねる。中央卸売市場がなくなった後も、むしろ客足は増え続けている。この場外市場にとって、かき入れ時となる12月に異変が起きた。総合案内所「ぷらっと築地」に、「食べ歩き、ツアー・ガイドはご遠慮ください!」と書かれた異例のポスターが貼り出されたのだ。【川本大吾/時事通信社水産部長】
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【写真】築地場外では路上に観光客があふれ、トラックが通り抜けるのもひと苦労という状況だ
場外市場は、豊洲へ移転した中央卸売市場とは異なり、卸売り(業務用)ではなく「一般の買い物OK」という、いわば小売り・飲食店の密集エリアである。ただ、場外市場には豊洲仲卸が手掛ける商業施設「築地魚河岸」も営業しているほか、魚のプロが仕入れる鮮魚などの専門店も少なくない。一般客とプロが集ってにぎわいを見せている。
人出の多さは活気の証。かねて師走のにぎわいは築地の風物詩となっており、ベテラン鮮魚商が「正月用のカニやマグロは高いよ」または「安いよ」などとインタビューに応じ、せわしない場外市場の様子が映し出されるテレビ中継は、一年の終わりを感じさせるニュースとなっている。
「食材が調達できない」と買出人
そうしたにぎわいが当たり前の築地場外市場で、食べ歩きに加えてツアー・ガイドは「ご遠慮ください」、つまり「観光目的で訪れるのは控えて」と要請するのはなぜか――。「ぷらっと築地」の関係者などによると、場外への人出が多過ぎて、寿司店や料理店といった業務用の食材の買出人から、「混み過ぎて必要な食材が調達できない」と訴える声が年々高まっているそうだ。銀座の和食店の関係者は「特に12月はインバウンドなどの観光客が邪魔になって仕方がない」と嘆く。
場外市場もコロナ禍には閑散とした時期があった。ところがコロナが落ち着いた数年前から、インフルエンザが流行っている今に至るまで人気は最高潮。「築地に中央卸売市場があった頃より、むしろ人は増えている」(ぷらっと築地)という。
そのわけは、各店の魅力に違いないが、場外市場関係者はこう話す。
「昔ながらの街並みが残っていて、細い路地にも多くの店がある。店先には、マグロやウニなど2~3カンの握りや、玉子焼き、牛ステーキ、スイーツ、おにぎりなど、さまざまな質の高い食べ物が、小皿に盛られて店頭販売されている。家族連れやカップル、グループ客がシェアしながら楽しめるところが好評なのではないか」
確かに、プロご用達の店のほか、ここ数年、店頭で海鮮やステーキ、スイーツを串に刺して売るお店が目立ってきた。店先に飲食スペースを確保している場合もあるが、次の店に急ぐ観光客らが、串を持ちながら「食べ歩き」する光景もよくみられる。
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