「山上被告」に死刑求刑は難しい…元特捜検事が指摘する理由 被告人質問では「検察も裁判官も寛大な姿勢に見えた」

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検察の追及が甘いわけ

「12月2日の公判では、裁判官が山上被告に『今回の事件の目的はなんだったのか』という聞き方をしました。普通は“動機”という言葉を使うのですが、“目的”というのは動機よりももっと広がりがあって、過激派の裁判などで使うことがあり、世直し的な意味が含まれているような感じがします。単に安倍元首相を殺害したわけではなく、目的は旧統一教会を追い詰めることだったのですね、とでも言いたげな裁判官の見立てが表れてしまったように思います」(若狭弁護士)

 これに対し、山上被告は「別の機会に答えさせてもらえれば……」と明言を避けている。

「ここで検察がさらに突っ込んで追及すべきでした。それがなかったのは弱いと思いました。追及が弱ければ“政治テロ”としての証拠も出てこないわけですから」(若狭弁護士)

 なんだか弁護士に加えて検察も裁判官も、山上容疑者に寛大な姿勢であるかのように見える。

「穿った見方と言われるかもしれませんが、現在、政府としては、文科省が旧統一教会の解散命令を申し立てています。宗教法人法では『法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をした』場合などに解散の請求ができるわけですから、政府としては、旧統一教会は悪質極まりない、継続して存在させてはならない団体と捉えているわけです。そのような教団に山上被告が敵意を抱くのは致し方ない、彼が教団とつながりがある安倍元首相を狙ったことには同情の余地もある、という見方ができてしまう恐れもあるわけです。当然ながら、法務省も検察も政府の一員ですから、政府の認識から逸脱できないところもある。山上被告への追及に厳しさがなくなっているのは、そうした面が出たのではないかとも勘ぐってしまうわけです」(若狭弁護士)

 12月18日には検察側の求刑が行われるわけだが、どうなるのか。

「求刑の前に、検察が論告で、どの程度のことを証言して構成するのかが見所でしょう。先ほども言ったとおり、“政治テロ”としての犯行動機が明らかにされていないため、死刑は求刑しにくいでしょう。たとえ求刑したとしても、裁判官もそのままの判決は出しにくい。検察としては無期懲役、あるいは有期刑で最長の懲役30年を求刑するのではないでしょうか。その結果、裁判所は、無期の求刑に対しては懲役30年、懲役30年の求刑に対しては懲役28年といった判決を下すのではないでしょうか」(若狭弁護士)

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