「手づくりのパウンドケーキ」を手土産に渡すのは“迷惑行為”か…衛生面だけではない他人の手づくり料理が“苦手な理由”とは
先日、会食があった際、帰り際に相手の方から手作りのパウンドケーキを手土産にいただいた。これが非常においしかったこともあり、後日、雑談でこのことを知人に話したところ、意外そうに「えっ? 抵抗感ないの? よく食べたね」と言われた。
ネットの論争で時々あるのが、「赤の他人の手作りの手土産をもらうのは迷惑」というものである。それは食べ物に限らず、ハンドメイドのコースターやら鍋敷きも「自分の好みではない」と敬遠される。が、特に食べ物については厳しい意見が多くなる。その理由の最たるものが、「なんか衛生的じゃないのでイヤだ」となる。
こうした議論の際、よく槍玉に挙げられるのが、おにぎりである。「家族以外の人が握ったおにぎりは抵抗感がある」といった言われ方をし、食べたふりをして捨てられたりもする。だったら外食はどうなるのだ? 寿司屋なんてもはや行けないのでは? とも思うのだが、そこは抵抗感がない。要するに「素人が触った食べ物は食べたくない。なんか不潔っぽい」というフィーリングの問題なのである。【取材・文=中川淳一郎】
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手作りのケーキを作るメンタリティ自体に抵抗感
料理をする人間からすると、自分が手で触ったものを生で食べることなどいくらでもある。日本蕎麦を食べる場合、ネギを切る時にネギは触るし、生姜をすりおろす時も生姜を触ってすりおろすわけだ。月見そば用の玉子を落とすにしても、殻を割る時に少しだけ白身が手に触れてしまう。この点に矛盾を感じるのだが、「絶対に他人の握ったおにぎりは食べたくない」という男性・A氏(40代)はこう語る。
「コンビニのおにぎりは機械が作っているわけですし、おにぎり専門店のおにぎりも、ゴムの手袋をつけたり、ラップでくるんだりして作っているわけです。でも、なんらかの会合で手作りのおにぎりを持ってくる人は、それらを使っていない可能性がある。手には雑菌がついているため、それがおにぎりに移っているかもしれない。ましてや、その人がハナクソをほじったりしている姿や、トイレから出る時に手を洗わない姿を見たことがある場合、おにぎりも同じような扱いをしている可能性があり抵抗感がある」
パウンドケーキの場合は、小麦粉を混ぜるにしても、味付けをするにしても、成型するにしても直接触ることはない。さらに、加熱しているのになぜ抵抗感があるのか。これについて、冒頭で「えっ? 抵抗感ないの? よく食べたね」と言った人物はこう語った。
「手作りのケーキを作るメンタリティ自体に抵抗感があるんですよ。衛生的とかそういうこと以外に、『私の料理の腕前を見て!』という自己顕示欲が手作りのケーキからはプンプン漂い、私は苦手なのかもしれません」
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