「根尾昂」「山瀬慎之助」が「現役ドラフト」から外れて広がる失望 根尾は「真面目な性格で、環境を変えたほうが…」 山瀬も「評価は高いが、本人が葛藤を抱えている」

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主力選手より歓声が…

 根尾に関しては様々な意見がある。大阪桐蔭では投打の二刀流で活躍し、ドラフト1位で入団したプロでは遊撃でキャリアをスタートさせたが、外野にコンバートされた後に投手に異例の転身。投球フォームで試行錯誤を繰り返し、登板数は23年が2試合、昨年が3試合、今年が4試合とファームで過ごす時間が長い。中日の育成方針が迷走していたという指摘がある一方で、チャンスを生かせなかった根尾の力不足という見方も。近年はトレード要員、現役ドラフトでの移籍がささやかれてきたが、中日はどのように考えているのだろうか。チームを長年取材したライターが指摘する。

「根尾は中継ぎですが、必要な戦力という位置づけではない。今年の秋季キャンプも参加メンバーから外れましたし、戦力外通告を受けても不思議ではない成績です。ただ、中日はドラフト1位の地元出身選手が特別な存在です。岐阜出身の根尾は入団当時から名古屋のメディアで話題を独占し、今も1軍で名前がコールされると主力選手より大きな歓声が上がる。集客力がある選手ですし、真面目な性格なので球団サイドは殻を破ってほしい思いがあるでしょう。プロ7年経っても伸び悩んでいる現状を考えると、環境を変えた方がいいように感じますが…」

捕手5人の飽和状態

 現役ドラフトで、他球団が注視したのは巨人の捕手事情だった。甲斐拓也、岸田行倫、小林誠司、大城卓三と1軍で実績のある選手がそろい、若手成長株の山瀬が出場機会を求めていた。そのため、現役ドラフトで放出の可能性があったが、大型右腕の菊地大稀が日本ハムに移籍することが決まった。

「捕手が5人いるのは明らかに飽和状態ですが、年齢を考えると、岸田は来年30歳で、その他の小林、甲斐、大城はみな30台前半から後半。その中で山瀬は24歳とまだ若く、次世代の正捕手候補として放出できません。結果を出しても1軍で起用されない本人が葛藤を抱えていることは理解できますけどね」(巨人を取材するスポーツ紙記者)

驚きのトレードはあるか

 今オフに桑原将志、石井一成をFAで獲得するなど積極的な補強を敢行している西武は平沼翔太がオリックスに移籍し、茶野篤政を獲得した。

「事前の予想では西口文也監督が就任した今年に出場機会が激減し、外野の定位置争いで厳しい状況に置かれた蛭間拓哉が有力候補とみられていましたが、西武が過去に現役ドラフトで移籍させた選手を見るとドラフト1位で入団した選手がいない。チームによって現役ドラフトに対するアプローチは違います。西武に関してはリスクをとらず、手堅いイメージがありますね」(前出のスポーツ紙デスク)

 各球団の戦力補強は終わったわけではない。昨年は現役ドラフト終了後の年末にソフトバンクとDeNAが三森大貴と濱口遥大の交換トレードを発表した。今オフも驚きのトレードが敢行される可能性があり、目が離せない。

 今現役ドラフトでは、昨年行われた「2巡目」の指名が行われなかったことがスポーツ紙などで報じられた。前出の佐藤のように例外はいるものの、今年のリストに載っていた選手の中に、各球団が支配下登録を1人増やしてまで獲得したいと思わせる、魅力ある選手が少なかったとの指摘もある。現役ドラフト制度は「不遇な選手の救済」「移籍の活性化」というコンセプトで始まり、過去には大竹耕太郎投手(ソフトバンク→阪神)や細川成也外野手(DeNA→中日)、田中瑛斗投手(日本ハム→巨人)などが移籍後、成功を収めたものの、開始から4年経ち、年々そのコンセプトが薄れてきているようにも思える。制度の発展のためにも、今ドラフトで移籍が決まった選手たちの活躍を期待したい。

 関連記事「『泉口友汰』と『根尾昂』 大阪桐蔭時代の“差”がプロでなぜ“逆転”したのか 泉口を覚醒させた『師匠』 根尾を迷走させた『指揮官』」では、中日ドラゴンズによる、根尾選手の育成方針について検証している。

デイリー新潮編集部

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