「完売画家」中島健太氏があえて指摘する“日本美術界”の問題点…巡回展に中島氏の作品を展示しない理由について「日展」が回答
日本の芸術界のスターを育成したい
――今後の美術界を盛り上げていくためには何が必要と考えますか。
中島:一言で言うなら、“スター”の育成です。スターがいる業界はプレイヤーがどんどん参入し、活性化してくるんですよ。スターを育成することを、美術界隈は業界の垣根を越えて考えていくべきです。
美術を扱う画廊やギャラリーは中小企業や小規模事業者が多く、それぞれの担当者ができることが小さいのです。今こそ、スターを育てるために力を合わせて連帯すべきだと思うんですよ。スターが育てば業界にとって確実に大きなメリットがありますから。
――確かに、1990年代は東山魁夷氏が国民的画家と呼ばれていましたが、そういった存在がいなくなってしまったと思います。
中島:日展の理事や重鎮にはスターを育成するモチベーションがありませんし、そういったことに取り組んだ経験もありません。好景気の時代、ジャパン・アズ・ナンバーワンの勢いでうまくいき、本当に儲かった奇跡の時代を体験したがゆえに、その夢から未だ覚めていないのです。現実を見たくないモードに陥っているのかもしれません。
どんな業界にいる人でも、業界ルールや村の掟に縛られはじめると、やれることがどんどん少なくなっていきます。だからこそ、チャレンジする人間は残っていくし、挑戦者に手を貸してくれる人もたくさんいます。僕の感覚からすると、現代はとてもやりがいがある時代だと思います。
大沢たかおさんのような画家を目指したい
――中島さんは知名度もカリスマ性もあり、既にスターといえる立場だと思いますが、今後はどのような作品を創作していきたいですか。
中島:僕は絵を描くのが好きだし、今後も20年、40年かけてキャリアを積み上げていきたい。そうありたいのであれば、今回の作品「忘れえぬひと」でモデルをお願いした大沢たかおさんのように、代表作が年代ごとに存在しないといけないのです。大沢さんはあれだけの代表作を残しながら、2027年には大河ドラマで二番手の役を演じます。本当に凄い俳優だし、僕が目指すべきはそういう画家だと思っています。
芸能人をモデルにした絵は今後も描き続けたいのですが、一度は描いてみたいのは長澤まさみさんです。国民的女優なので、相対したときは緊張感も大きいと思いますが、スターから刺激を受け、ヒリヒリしながら作品を創っていきたいですね。
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