「1億円超え」都内新築マンションを買っているのは? 中国人より多かった“意外”な外国人

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中国人の6倍以上

 今年10月の東京23区の新築マンション平均価格は1億5313万円。大企業のサラリーマンでも手が届かないような物件は誰が買っているのか。以前から外国人による爆買いや短期売買が指摘されてきたが、11月25日、国土交通省が調査結果を発表した。

〈不動産登記情報を活用した新築マンションの取引実態の調査・分析について〉

 そう題されたレポートには、同省が法務省から取得した新築マンションの不動産登記情報や、民間(不動産経済研究所)が調べた販売価格を基に分析したとある。中でも気になるのは、価格を押し上げているとされる「外国人」の出身地だ。結果は意外なものだった。

 レポートによると2025年1~6月の間に、東京23区で新築マンションを取得した外国在住者のうち、もっとも多かったのが台湾で192件。2番目が中国の30件、あとはシンガポールや香港、英国と続く。台湾人による東京のマンション購入は、3年前から急に増えているが、その理由について、台北市に本社を置く信義企業グループの日本法人「信義房屋不動産」に聞いてみると、

「私たちの会社では台湾からのお客さんを物件に案内することがよくありますが、東京のマンションは国交省の調査どおり大人気です。理由としては、やはり中国による台湾への武力侵攻の可能性が払拭できないことがあるでしょう。そのために、資産を国外に分散しておきたいと考えている資産家が少なくありません。親日家も多いですからね。もう一つは、最近の円安で東京の新築マンションが相対的に安くなっていることも挙げられるでしょうか」(営業担当者)

“お得感”

 実際に、大手銀行のレポートにも、東京のマンションは台北より4~5割安いとあり、向こうの人からすれば“お得感”があるのだろう。また、中国人の購入者が少なく見えるのは、別の理由もある。

 都内の不動産業者が言う。

「ここ数年、中国から国外に個人が送金する場合、厳しい規制がかけられているのです。現状では、年間5万ドルが上限ですから、頭金にもなりません」

 だが、中国のSNSなどに港区や渋谷区のタワマンの広告が出ていることから、人気なのは相変わらずだ。どうやって日本のマンションを買うのだろうか。

「目端が利く中国人ビジネスマンは早くから金を海外に持ち出しており、日本に拠点を持っていたりする。例えば代表者の名前を日本人にして設立した会社名義で購入すれば、本当の買い主は調べようがありません」(同)

 国の調査だけでは浮かび上がってこない実態があるようだ。

週刊新潮 2025年12月11日号掲載

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